新規事業の仮説検証 撤退基準の決め方と、判定に使える指標

この記事でわかること
  • 仮説検証で最初に決めるのは、手法ではなく撤退基準
  • 新規事業で検証すべき仮説は4種類
  • 仮説検証の進め方の5つのステップ
  • 検証手法の選択肢と使い分け
  • 約10万円・2週間のLPテストで実際に分かったこと

新規事業の仮説検証に取りかかろうとすると、決めることが次々に出てきます。何から検証すればいいのか、どの手法を選べばいいのか、結果が出たときに続けるべきか止めるべきか。既存事業と違って参考にできる数字がないため、あなたも決めかねているのではないでしょうか。この記事では、検証の成否を分けるのは手法の選択ではなく、着手前に撤退基準を数値で決めておけるかどうかだと考えています。

目次

結論:仮説検証で最初に決めるのは、手法ではなく撤退基準

検証が止まらなくなるときには、共通したパターンがあります。インタビューを重ね、広告も出してみたものの、出てきた数字をどう読むかを決めていないため、結論が「もう少し様子を見よう」に落ち着いてしまう状態です。数字が足りないのではなく、判定の基準がないために判断が出せなくなっています。着手する前に「いくら使って何件出なければ止めるか」を決めておくと、同じ数字から結論を出せるようになります。

検証にあたっての問いこの記事の答え
何を検証すればいいか課題・ソリューション・市場・収益の4つのうち、1回の検証では1つに絞ります
どうやって検証するか目的で決まります。需要の規模を測るなら定量、課題の有無を確かめるなら定性を選びます
結果をどう判定するか成約から順に見て、件数が足りなければ下位の指標まで下ります。どこまで下りたかを記録します
誰に頼めばいいか内製・広告代理店・調査会社・検証代行・今はやらない、の5つを費用と期間で比較します

表の3行目が、この記事でもっとも字数を割いている部分です。実際に約10万円の広告費で検証を行ったときの数値を使いながら、どの段階までなら判定できて、どこから先は判定できないのかを整理しています。判定できない範囲をあらかじめ決めておくことが、出てきた数字を都合よく読まないための歯止めになります。

新規事業で検証すべき仮説は4種類

課題仮説・ソリューション仮説・市場仮説・収益仮説

新規事業の仮説と言っても、確かめる対象は一つではありません。大きく4つに分けて整理すると、いま何を検証しているのかが見えやすくなります。

仮説の種類確かめること確かめずに進んだときに起きること
課題仮説想定した顧客が、その課題を実際に抱えているか誰も困っていない課題を解決する製品ができあがります
ソリューション仮説自社の解決策が、その課題の解決手段として受け入れられるか課題は実在するのに、解決手段としては選ばれません
市場仮説その課題を抱えた顧客がどれだけ存在し、解決策を探しているか正しい課題を解いているのに、事業として成立する規模に届きません
収益仮説顧客が対価を払うか、単価と獲得コストが釣り合うか使われるけれども利益が残らない状態になります

4つのうちどれを確かめるべきかは、事業の段階によって変わります。構想したばかりであれば課題仮説から、すでに顧客の声を集めているのであれば市場仮説から検討することになります。これらの分類は、リーンスタートアップやPMFといった枠組みのなかでも扱われている考え方です。

検証の順序と、飛ばすと起きること

4つには順序があります。課題仮説から始めて、ソリューション仮説、市場仮説、収益仮説へと進むのが基本の流れです。前の仮説が崩れた時点で、後ろの仮説を確かめる意味がなくなるためです。

作りたいものが先にある場合には、課題仮説を飛ばしてソリューション仮説から入りがちです。この順序で進むと、開発を終えたあとになって需要が確認できないという結果になります。手戻りにかかる時間は、検証を省いて短縮した時間を大きく上回ります。

ただし、順序を必ず守らなければならないわけではありません。既存事業の顧客に同じ課題があると分かっている場合には、課題仮説の検証を省いて市場仮説から始められます。省略してよいのは、すでに手元に根拠がある仮説に限られます。

仮説検証の進め方の5つのステップ

検証の手順を5つのステップに分けて整理します。5つのうち3つまでが着手前の作業であり、実行に入るのは4つ目からになります。準備の比重が大きい点が、通常の施策との違いです。

1. 検証する仮説を1つに絞る

複数の仮説を同時に検証すると、結果が出たときにどの仮説が支持されたのかを分離できなくなります。反応が良かった場合でも、課題設定が当たっていたのか、訴求の表現が良かっただけなのかを判別できません。複数を扱わざるを得ない場合には、主と従を決めて、従の仮説は参考情報として扱ってください。

2. 仮説を数値で測れる判定式に書き換える

「ニーズがあるか」という形のままでは、どんな結果が出ても判定できません。数値で測れる形に書き換えたうえで着手します。

書き換え前書き換え後
この課題にニーズがあるか課題を示した広告文に、クリック率◯%以上の反応が出るか
この解決策は受け入れられるかLPを見た人のうち◯%以上が問い合わせに至るか
事業として成立する規模があるか対象となるキーワードの月間検索数が◯件以上あるか

書き換えるときは、自社が用意できる手段で測れる指標を選んでください。測れない指標を置くと、実行の途中で基準そのものを差し替えることになります。

3. 判定基準と撤退基準を、着手前に決める

基準を決めるのは、結果を見る前でなければ意味がありません。数字が出てから基準を作ると、出てきた数字に合わせて基準のほうが動きます。

決めておく基準は3つあります。継続すると判断するライン、撤退すると判断するライン、そして今回は判定しないと決めておく範囲です。基準の具体的な作り方は、記事の後半で扱います。

4. 実行して、決めた基準で判定する

実行に入ったら、期間が終わるまで条件を変えないでください。途中で訴求やターゲットを調整すると、前半と後半のデータを合算できなくなり、母数が足りないまま期間を終えることになります。

判定は、継続・停止・設計し直しの3つから選びます。この3つ以外の選択肢を残しておくと、基準を決めた意味がなくなります。

検証手法の選択肢と使い分け

検証の手法は、どれが優れているかではなく、どの仮説を確かめたいかで決まります。同じ事業であっても、課題仮説を確かめる段階と市場仮説を確かめる段階では、選ぶべき手法が変わります。主要な6つについて、費用と期間、そして何が分かって何が分からないのかを整理しました。

主要6手法の比較

手法費用の目安期間分かること分からないこと向く場面
デプスインタビュー5〜30万円2〜4週間課題の内容と背景、顧客が使う言葉同じ課題を抱える人がどれだけいるか課題仮説の検証
アンケート調査10〜100万円2〜6週間回答者のなかでの比率と傾向実際に金銭を払うかどうか市場仮説の裏づけ
プロトタイプ検証30〜300万円1〜3か月解決策が使われるか、どう使われるか出会う前の段階での需要の有無ソリューション仮説の検証
検証用LPと広告によるテスト10〜50万円2〜4週間検索されている言葉と問い合わせの発生受注率とLTV市場仮説と訴求の検証
クラウドファンディング調達額の10〜20%と準備工数2〜4か月前払いしてでも欲しいと思われるかBtoBの購買プロセスで通用するか収益仮説の検証
既存顧客へのヒアリングほぼ発生しない1〜2週間既存顧客の文脈における課題新規セグメントで通用するか着手前の絞り込み

表を見るときには、右から2列目の「分からないこと」に目を通してください。どの手法にも測れない範囲があり、そこを埋めようとして手法を増やすと、費用と期間だけが積み上がっていきます。確かめたい仮説が1つに絞れていれば、選ぶ手法も1つか2つに収まります。

定性と定量、どちらを先にやるか

定性と定量のどちらから始めるべきかは、優劣の問題ではなく、確かめたい内容によって変わります。

顧客が何に困っているのかがまだ言葉になっていない場合には、定性から始めます。回答者の数を増やしても、想定していなかった課題は選択肢に現れないためです。インタビューで出てきた言葉を集めてから、その言葉がどれだけの範囲に当てはまるのかを定量で測る流れになります。

一方で、誰に聞けばよいのかが決まっていない場合には、定量から始める選択肢もあります。反応のあったセグメントが分かってから、そのセグメントの担当者に話を聞くほうが、対象を絞り込めるためです。既存事業と顧客層が重ならない新規事業では、この順序のほうが進めやすい場面があります。

どちらの順序を取るとしても、片方だけで完結させない前提で設計してください。定性には数を測れないという制約があり、定量には理由を説明できないという制約があります。

約10万円・2週間のLPテストで実際に分かったこと

ここからは、実際に行った検証の数値を使って説明します。宿泊施設や店舗に備品を供給するBtoB事業で、新しい顧客セグメントに需要があるかどうかを確かめた案件です。社名と商材名は伏せ、金額は概数に丸めています。

検証の条件と、出た数値

検証の手法は、検証用のLPを1枚作り、検索広告から流入させて問い合わせの発生を見るというものです。広告費は約10万円、配信期間は2週間、出稿したキーワードは30語です。CVは、LPのフォームから送信された問い合わせと資料請求を指します。

問い合わせから先の商談と成約については、検証期間の内側と外側にまたがって発生しているため、2週間という期間とは対応づけていません。以下の表は、広告費約10万円から最終的にどこまで到達したかを示したものです。

段階実数前段からの転換率単価この数値で判定できること
表示1,850——検索需要があるかどうかを断定できます
クリック1296.97%約760円訴求ごとの反応の差を判定できます
問い合わせ1511.63%約6,500円全体としての需要を判定できます
商談533.3%約19,700円参考値にとどまります
成約240.0%約49,200円水準の判定はできません

右端の列に書いたとおり、判定に使えるのは上から3段目までです。商談と成約が実際に発生したという事実には意味がありますが、5件と2件という数から水準を語ることはできません。この点は次の章で詳しく扱います。

表示回数0が証明したこと

この検証で最も明確な結果が出たのは、反応があった言葉ではなく、表示すらされなかった言葉のほうでした。

広告に使った言葉表示回数クリック
品質面の悩みを指す訴求(「◯◯でお困りなら」)00
取引条件を示す訴求(「小ロットから対応」)00
提供機能を示す言葉(「◯◯管理」)110

表示回数がゼロであるという結果は、標本が足りないこととは性質が異なります。クリックがゼロであれば「もっと出稿していれば違ったかもしれない」という議論が残りますが、表示がゼロの場合には、その言葉で検索している人が期間中に存在しなかったという事実だけが残ります。そのため、母数を増やすという議論の余地そのものがありません。

ここから言えるのは、少額の検証で確実に手に入るのは否定の証拠だということです。約10万円という金額では、需要があることを証明するには足りません。一方で、特定の言葉に需要がないことであれば、この金額でも確定させられます。

強みの言葉と、検索される言葉は違う

反応があった言葉と、反応がなかった言葉を並べると、違いは訴求の巧拙ではないことが分かります。

クリックが集まったのは、用途を挙げて業者を探している言葉と、サービス形態を挙げて業者を探している言葉でした。いずれも、すでに発注先を探している段階の検索です。これに対して反応がなかったのは、品質や条件といった、こちらが強みだと考えていた要素を示す言葉でした。

この結果から出る結論は、強みを捨てるということではありません。置き場所を変えるということです。検索の段階で使われるのは、探している対象を名指しする言葉であり、品質や条件は、出会ったあとに比較検討する材料になります。したがって、強みを表す言葉は広告の見出しではなくLPの本文に置くほうが機能します。

予算の28%はCVゼロのキーワードに消えた

費用の内訳も開示します。約10万円のうち、問い合わせにつながらなかったキーワードの消化額は約2.8万円で、全体の28%にあたります。

消化先金額CV
カテゴリ名単体(情報収集の段階)約1.3万円0
隣接業種を指す言葉約0.4万円0
その他の反応がなかった言葉約1.0万円0

運用の視点で見れば、この2.8万円は無駄打ちです。しかし検証の視点では、どこに需要がないのかを確定させるために支払った金額になります。目的が違えば、同じ数字の評価も変わります。

なお、前の表に示した成約単価の約49,200円は、この2.8万円を含んだ総額から算出しています。無駄打ちを除いた最適化後の数値ではありません。

検証結果を、どの指標で判定するか

原則は成約から見る

BtoBの広告結果を評価するときは、成約から順に見ていきます。次に商談、その次に問い合わせ、最後にクリックという順序です。

この順序には理由があります。問い合わせの件数だけであれば、対象を広げたり訴求を緩めたりすることで増やせますが、受注につながらない問い合わせをいくら増やしても、事業を続けるかどうかの判断材料にはなりません。判断に直結する指標から先に見て、そこで決着がつかない場合にだけ下の指標へ下りる、という手順を取ります。

今回の検証では成約まで追跡できたため、原則どおり成約から見にいきました。

成約2件から言えること・言えないこと

成約は2件、成約1件あたりの広告費は約49,200円、問い合わせから成約に至った割合は13.3%でした。この数字から言えることと言えないことを、分けて整理します。

言えるのは、この事業の顧客が検索広告を経由して実際に受注に至ったという事実です。需要は机上の推定ではなく、金銭のやりとりを伴う形で存在していました。新規事業の判断としては、この一点だけでも意味があります。

言えないのは、13.3%という割合が再現する水準なのか、約49,200円という単価が高いのか安いのかという評価です。成約が1件増えて3件になれば割合は20.0%になり、1件減れば6.7%になります。母数が2件では、どちらに転んでも不思議のない範囲に収まってしまいます。

決着がつかないため、問い合わせ15件まで下りて判定した

成約と商談で決着がつかなかったため、ひとつ下の問い合わせまで下りて判定しました。15件という件数も多いとは言えませんが、需要が存在するかどうかという問いに対してであれば、この件数でも判定できます。

ここで強調しておきたいのは順序です。最初から問い合わせ件数で評価したわけではなく、上位の指標で判断がつかなかったために下りています。そして報告書には、どの指標まで下りて判定したのかを記載します。どこまで下りたかを書かずに結果だけを示すと、読み手は最初からその指標で判断したものと受け取ってしまいます。

セグメント別に割ると、さらに下りることになる

セグメントごとに分けて見ると、問い合わせ15件はさらに細かく割れてしまい、同じ問題がもう一度起こります。

セグメント表示(逆算した概数)クリッククリック率問い合わせCVR
A:用途を挙げて業者を探す層約1502517.01%520.0%
B:サービス形態で業者を探す層約1001615.53%212.5%
C:大手施設層約12086.50%112.5%
D:カテゴリ名で探す層約1,300755.73%79.33%
E:隣接業種層約16053.18%0—

最も反応が良かったセグメントAの問い合わせは5件です。割合としては20.0%で、全体平均の2倍近くにあたりますが、母数となるクリックが25件しかないため、この差が偶然の範囲を超えているとは言い切れません。一方でクリック率については、表示回数が数百回から千回を超える規模で得られているため、セグメント間の差を判定できます。

したがって、セグメントの優劣についてはクリック率まで下りて判定しています。ここでも、下りた事実そのものを報告に残してください。

続ける/続けないの判定基準をつくる

ここまでは実際に出た数値を見てきました。ここからは、その数値を自社の事業に当てはめるための基準の作り方を扱います。前提として、他社の検証で出た単価をそのまま目標値として使うことはできません。許容できる単価は商材の粗利で決まるため、同じ6,500円でも成立する事業と成立しない事業があります。

許容単価を先に自分で計算する

最初に計算するのは、いくらまで払ってよいかという上限です。計算式は2段階に分かれます。許容できる成約単価は、初回受注の粗利に、広告費へ充ててよい上限比率を掛けて求めます。許容できる問い合わせ単価は、その成約単価に、問い合わせから成約に至る割合を掛けて求めます。

項目求め方本記事の検証での実績
初回受注の粗利自社の実績から非開示
広告費に充てる上限比率自社で決める非開示
許容できる成約単価粗利 × 上限比率実績は約49,200円
問い合わせ→成約の割合既存チャネルの実績から13.3%(2件のため参考値)
許容できる問い合わせ単価成約単価 × 成約の割合実績は約6,500円

問い合わせから成約に至る割合は、着手前の時点では分かりません。既存事業や既存チャネルの実績があればその数値を使い、なければ仮に置いたうえで、検証後に実績で置き換えてください。仮置きの数値であることを明記しておくと、判定のときに議論が混乱しません。

判定ゲート表|どこで止まったかで打ち手が変わる

判定は、達成か未達かの二択では作らないでください。二択にすると、未達だったときに何をすればよいかが決まらず、判断が先送りになります。かわりに、どの段階で止まったのかによって次の打ち手が変わる形にします。

止まった段階観測される状態判定次の打ち手
表示が出ない表示回数がほぼゼロ続けない事業仮説そのものを見直します。その言葉で誰も探していません
クリックされない表示はあるがクリック率が低い保留訴求の言葉を変えて再測定します。需要の層がずれています
問い合わせが出ないクリック率は良好、CVRが低い保留LPと提示条件を見直します。需要はあるが受け皿が弱い状態です
商談にならない問い合わせは出るが質が低い保留ターゲティングと訴求を絞り込みます
成約しない件数が少なく判定できない判定不能予算を追加して再測定します。少額検証の範囲外です

この表の使い方は、検証が終わってから照らすのではなく、着手前に関係者へ配ることです。同じ表を全員が見ている状態を作っておくと、結果が出たあとの議論が処方の選択に集中します。

判定できない範囲を、あらかじめ決めておく

基準を作るときに抜けやすいのが、今回は判定しないと決めておく範囲です。達成ラインと撤退ラインの2つは作られても、この3つ目は省略されがちです。

今回の検証であれば、受注率とLTVは判定の対象外だと着手前に決めていました。決めていなければ、成約が2件出た時点で「事業として成立する」という結論に飛んでしまいます。判定しない範囲を先に宣言しておくことは、良い結果が出たときに慎重さを保つための仕組みでもあります。

着手前・実行中・判定時のチェックリスト

最後に、各段階で確認する項目をまとめます。着手前の5項目は、ひとつでも空欄があれば実行に進まないでください。空欄のまま始めた検証は、終わったあとに判定できません。

段階確認する項目
着手前検証する仮説を1つに絞ったか/仮説を数値で測れる判定式に書き換えたか/許容できる問い合わせ単価を計算したか/判定しない範囲を決めたか/判定ゲート表を関係者に配ったか
実行中期間の途中で訴求やターゲットを変えていないか/日次の数値を見て基準を動かしていないか/問い合わせから先を追跡する導線が機能しているか
判定時どの指標まで下りて判定したかを記録したか/判定しないと決めた範囲に踏み込んでいないか/継続・停止・設計し直しの3つから選んだか

誰に依頼するか|内製・代理店・調査会社・検証代行・何もしない

検証を誰が行うかについては、社外に出す前に社内で完結させる道も含めて比較してください。手法の選択と同じく、どれが優れているかではなく、何を得たいかで決まります。

5つの選択肢の比較

選択肢費用の目安期間得られるもの向かない場面
内製する広告費10〜30万円と自社の工数1〜2か月検証の進め方が社内に残ります広告運用とLP制作の経験者が社内にいない場合
広告代理店に依頼する月額20〜50万円と広告費3か月以上運用の精度と継続的な改善一度の判定で完了させたい場合
調査会社に依頼する30〜150万円1〜2か月統計的に処理された定量データ実際に金銭を払うかどうかを確かめたい場合
検証代行に依頼する20〜50万円と広告費2〜4週間続けるか止めるかの判断材料継続的な獲得改善を求める場合
今は検証しない発生しません—時間と予算を他に回せます社内の合意形成に外部の数値が必要な場合

費用と期間は案件の条件で変わるため、目安として捉えてください。いずれの選択肢にも向かない場面があり、その欄を先に読むほうが判断は早くなります。

LPテストが向かない事業の条件

検証用のLPと広告によるテストは、どの事業にも当てはまる手法ではありません。次の3つに該当する場合には、別の手法を検討してください。

第一に、見込み客の母数が極端に少ない場合です。対象となる企業が数十社しかない市場では、そもそも検索の表示回数が集まらないため、判定に必要な母数に届きません。

第二に、まだ言葉が存在しない新しいカテゴリの場合です。この場合の表示回数ゼロは、需要がないことではなく、探す言葉を誰も持っていないことを意味します。同じゼロでも解釈が正反対になるため、この手法では判断を誤ります。ただし、この場合は検索広告ではなく、Meta広告などのディスプレイ広告が有効なパターンも存在します。

第三に、問い合わせから受注までの期間が長い場合です。検討に半年以上かかる商材では、検証期間の内側で成約が発生しません。問い合わせの件数までしか判定できないと、着手前に理解しておく必要があります。

「今は検証しない」が合理的な場合

検証そのものを行わないという選択も、条件によっては合理的です。

すでに受注が見込める顧客が具体的にいる場合には、検証よりも先に売るほうが確実な情報が得られます。開発の規模が小さく、検証の費用が開発費を上回るような場合も同様です。

判断が分かれるのは、意思決定者が検証結果に関わらず進めると決めている場合です。この状況で検証を行うと、出てきた数値は判断ではなく説明のために使われます。それでも進めるのであれば、判定ではなく訴求の材料集めが目的だと、最初から位置づけを変えておくほうが健全です。

仮説検証でよくある3つの失敗

最後に、判定の場面で起きやすい3つの失敗を挙げます。いずれも数値そのものではなく、数値の扱い方に原因があります。

1つ目は、検証結果を見てから基準を作ってしまうことです。この状態は、会議での言葉づかいに表れます。「初回としては悪くない」「もう少し回してみよう」という発言が出たときは、事前に決めた基準が存在しないか、あっても参照されていません。基準が先にあれば、判断は達成か未達かの確認で終わります。

2つ目は、セグメントや訴求の優劣を、母数を確かめずに断定してしまうことです。差が大きく見えるときほど、そのセグメントのクリック数と問い合わせ件数を確認してください。数十件の母数で出た2倍の差は、傾向ではなくばらつきの範囲に収まることがあります。

3つ目は、判定できない範囲を、判定したことにしてしまうことです。成約が数件出たことを根拠に事業性まで結論づけるのが典型です。着手前に判定しない範囲を決めておけば、この飛躍は起きません。良い数字が出たときほど、この歯止めが効いてきます。

新規事業の仮説検証で最初に決めるのは、どの手法を使うかではなく、どうなったら止めるかです。この記事の判定ゲート表とチェックリストは、そのまま社内で使える形にしてあります。次の検証に着手する前に、着手前の5項目を埋めてみてください。埋まらない項目が見つかった時点で、その検証は判定できない設計になっています。

その新規事業、「売れるか」を2週間で確かめられます

カリアドは、新規事業の需要検証に特化したサービスです。

調査レポートや社内の議論では、結局「売れるかどうか」は分かりません。検証用LPを作り、実際に広告を配信し、見込み客が反応するかどうかを数値で確認します。

開発に数百万円を投じる前に、まず市場に聞く。それが最も安く、最も速い意思決定の方法だと考えています。

期間は2週間程度、費用は定額。検証レポートと広告の生データをお渡しするので、そのまま社内報告にお使いいただけます。

まずは無料相談から。検証すべき仮説の整理だけでもお役に立てます。

この記事を書いた人

Webマーケティング歴8年超。Web広告代理店でのコンサルタント職を経て、事業会社にて責任者としてリード獲得体制をゼロから構築。現在はSaaS企業のマーケティングを担当しながら、カリアドで新規事業の需要検証を手がけています。広告運用の実データにもとづく検証設計を専門としています。

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