- 新規事業の集客で先に決めるのは、手法ではなく止める基準
- 新規事業の集客手法とフェーズ別の優先順位
- 手法別の費用レンジと、少額でどこまで分かるか
- 続ける・止めるの判断基準をどう設計するか
- 依頼先の選択肢を比較する
新規事業の集客で最初に決めるのは、どの手法を使うかではありません。いくら使って何が起きなければ止めるのか、その基準です。基準がないまま配信を始めると、数字は集まるのに判断に使えない状態になります。実際、新規事業でつまずくのは手法の選択ではなく、思った反応が返ってこなかったときに続けるか止めるかを決められない場面です。
新規事業の集客で先に決めるのは、手法ではなく止める基準

新規事業の集客で最初に必要なのは、手法の選定ではありません。いくら使って何が起きなければ止めるのか、その基準を先に引くことです。基準がないまま配信を始めると、数字は集まるのに判断に使えない状態になります。
この記事の結論を先に示します。
| 問い | この記事の答え |
|---|---|
| どの手法から始めるべきか | 事業フェーズによる。需要が未確認なら手法選定はまだ早い |
| いくらかかるか | 需要検証だけなら十万円前後から。本格運用は月十万円台〜数十万円 |
| 続けるか止めるかをどう決めるか | 開始前に基準を決め、成約→商談→問い合わせの順に照らす |
集客手法を並べても判断はできない
新規事業の集客が議題にのぼるとき、話はどの手法を選ぶかに集まります。検索広告なのかSNS広告なのか、SEOに投資すべきか展示会に出るべきか、という選択の問題として扱われます。手法ごとの費用感や向き不向きを整理すれば、着手までは進みます。
ただし手法を一通り並べても、着手したあとに必要な判断まではたどり着きません。実際に詰まるのは、選んだ手法から思うような反応が返ってこなかった局面です。そこで問われるのは、改善しながら続けるのか、いったん止めて別の仮説に移るのか、という判断であって、手法の一覧は答えを持っていません。
しかも新規事業では、この判断がとりわけ難しくなります。既存事業であれば過去の実績が比較対象になりますが、立ち上げ直後は比べる相手がありません。反応が鈍いとき、それが訴求の問題なのか、受け皿の問題なのか、そもそも需要が存在しないのかを、手元の数字だけで切り分ける必要があります。
基準がないまま進めると何が起きるか
判断の基準を決めないまま走らせた場合、三つの形で損失が出ます。
一つ目は、成果が出ないまま予算を使い続けることです。止める条件が決まっていないため、もう少し続ければ変わるという期待だけで継続の判断が繰り返されます。
二つ目は、逆に一斉に止めてしまうことです。何が効いていて何が効いていないのかを分けられないと、施策全体をまとめて停止する以外の選択肢がなくなります。このとき、反応があった部分まで一緒に消えます。
三つ目は、次に教訓が残らないことです。どの数字がどの水準だったから止めたのかを記録できていなければ、次の仮説を立てるときに同じ場所からやり直すことになります。新規事業では検証の回数そのものが資産になるため、ここでの取りこぼしが後々まで響きます。
基準を先に引くと、社内の説明も変わる
基準を開始前に決めておくと、判断が担当者の主観から切り離されます。事前に合意した水準に実績を照らすだけになるため、続ける場合も止める場合も、根拠を同じ形式で説明できます。
反対に、数字が出そろってから基準を作ると、出た結果に合わせて解釈が動きます。悪くない数字に見えるという説明も、期待を下回ったという説明も、あとからならどちらも成り立ってしまいます。社内で投資の継続を協議する場面では、この後づけが最も通りにくい部分です。
この記事で扱う範囲
以降は三段構えで進めます。前半で集客手法の全体像と費用のレンジを整理し、中盤で判断基準の設計と、続ける・止めるを分ける見方を扱います。後半では、内製・代理店・調査会社を含めた依頼先の選択肢を並べます。
あわせて、実際に広告費十万円弱・二週間で回した検証の数値も途中で出します。ただしこれは一件の案件から得た記録であり、業種を横断する相場ではありません。数値そのものよりも、どの順序で何を見るかという読み方のほうを持ち帰ってもらう前提で書いています。
新規事業の集客手法とフェーズ別の優先順位

集客手法の全体像
集客手法は、顧客が自ら探しに来るプル型と、企業側から届けにいくプッシュ型に分かれます。そこにオンラインとオフラインの軸を掛け合わせると、主要な手法はおおむね次の四象限に収まります。
| プル型(顧客が探しに来る) | プッシュ型(企業から届ける) | |
|---|---|---|
| オンライン | SEO・オウンドメディア、比較サイト掲載、口コミサイト、Googleビジネスプロフィール | 検索広告、ディスプレイ広告、SNS広告、メールマーケティング |
| オフライン | 紹介、既存顧客からの口コミ、業界メディア掲載 | 展示会、ウェビナー、セミナー、DM、テレアポ |
プル型は成果が出るまでに時間がかかる一方、蓄積したものが後から効き続けます。プッシュ型は配信を始めた時点から反応が返ってきますが、止めれば流入も止まります。新規事業では両方を同時に走らせる体力がないため、どちらを先に置くかを決める作業が実質的な戦略設計になります。
なお、手法ごとの細かい運用方法はそれぞれ独立した論点です。ここでは選定の判断に必要な範囲にとどめ、個別の実務は別の記事に譲ります。
事業フェーズで優先順位は変わる
同じ手法でも、事業がどの段階にあるかで有効性が変わります。三つの段階に分けて整理します。
需要検証前は、その商材を求める顧客が実在するかどうかがまだ確認できていない段階です。ここで長期施策に投資すると、需要がなかった場合に投じた期間ごと失われます。反応が短期間で返ってくる手法に絞り、需要の有無そのものを確かめる作業を優先します。
立ち上げ直後は、需要の存在は確認できたものの、どの顧客層にどの訴求が刺さるかが定まっていない段階です。反応があった層に予算と訴求を寄せていく作業が中心になります。この段階では、当てにいくよりも外れを特定していくほうが早く進みます。
成長初期に入ると、獲得の再現性が見えてきます。ここで初めて、SEOやコミュニティ形成といった時間のかかる施策への投資が回収の見込みを持ちます。事例や実績が蓄積されているため、比較サイト掲載や紹介といった手法も機能し始めます。
多くの記事は二段階目から話を始めます。ただし新規事業でつまずくのは、一段階目にいるのに二段階目のつもりで手法を選んでしまう場面です。指名検索がまだ発生せず、導入事例も口コミもない状態で、事例コンテンツや紹介制度を主軸に据えても組み立ちません。手法を選ぶ前に、自社が今どの段階にいるのかを確定させる必要があります。
BtoBとBtoCで変わる判断ポイント
商材の性質によっても、優先順位の付け方は変わります。
BtoBでは、意思決定に複数の関係者が関わり、検討期間が数か月に及ぶことが珍しくありません。最初の接点から受注までの間に、稟議や比較検討の工程が挟まります。そのため、問い合わせが発生してから成果を判断できるようになるまでにも時間差が生まれます。集客を開始した月の数字だけを見て良否を決めると、実態より低く見積もることになります。
一方でBtoCは、検討期間が短く、一件あたりの単価も低い傾向にあります。獲得件数の総量が売上を左右するため、短期間で反応の出る手法を回しながら量を確保する設計が向きます。
この違いは、次のセクションで扱う判断基準の作り方にも直結します。BtoBでは問い合わせ件数だけを見ても事業性を判断できないため、どの指標をどの順序で見るかを決めておく必要があります。ここが定まっていないと、同じ数字を前にしても解釈が人によって割れます。
手法別の費用レンジと、少額でどこまで分かるか

主要手法の費用レンジ
集客手法にかかる費用は、手法によって桁が変わります。おおまかな目安を並べると、次のようになります。
| 手法 | 費用の目安 | 成果が出るまで |
|---|---|---|
| 検索広告・SNS広告 | 月十万円台〜数十万円(広告費+運用費) | 数日〜数週間 |
| SEO・オウンドメディア | 月十万円前後〜(制作費) | 数か月〜一年 |
| ウェビナー | 一回あたり数万円〜十万円台 | 開催直後 |
| プレスリリース配信 | 一配信あたり数万円 | 掲載後数日 |
| 展示会出展 | 一回あたり数十万円〜百万円超 | 開催当日 |
これらは外部に委託する場合を含んだ一般的な目安であり、業種や競合状況によって上下します。特に検索広告は、競合が多い領域ではクリック単価が高騰するため、同じ予算でも取れる件数が大きく変わります。
新規事業の立ち上げ初期に現実的な選択肢となるのは、上二つです。展示会は接点の質が高い反面、初回の出展で数十万円単位の投資が先に発生します。需要が確認できていない段階では、投じた金額に対して何が分かるかが釣り合いません。
広告費十万円弱・二週間で得られた数値
実際に運用した一件の記録を出します。法人向けの備品・資材レンタル系サービスで、新規の顧客セグメントに需要があるかを確かめるために、検索広告とランディングページを使って測定したものです。
| 項目 | 実績 |
|---|---|
| 広告費 | 約10万円 |
| 運用期間 | 2週間 |
| 表示回数 | 約1,900回 |
| クリック | 約130回 |
| 問い合わせ | 15件 |
| 商談 | 5件 |
| 成約 | 2件 |
十万円を下回る予算でも、問い合わせから成約までを一通り追える数字が得られています。検証したキーワードは30語規模で、完全一致とフレーズ一致を半分ずつ配分しました。
ただしこの数値の扱いには注意が必要です。これは一件の案件、一つの業種、検索広告のみ、二週間の結果です。獲得単価も反応率も、商材の単価と競合状況で桁が変わります。他業種にそのまま当てはめられる相場ではなく、この水準を目標値として設定することもできません。
同じ理由から、問い合わせ15件に対して成約2件という比率も、再現可能な歩留まりとしては扱えません。母数が一桁である以上、率として一般化するには足りない数です。ここで読み取れるのは、十万円弱という予算規模でも成約の有無までは確認できた、という事実にとどまります。
少額検証で分かること、分からないこと
金額の話と同じくらい、範囲の話が要ります。少額の広告テストで確認できることには、はっきりした境界があります。
分かるのは、需要が存在するかどうかと、どの訴求に反応が返ってくるかです。その言葉で探している人が実在するか、探している人がどのセグメントに偏っているかは、二週間程度の配信でも輪郭が見えます。
分からないのは、受注率と顧客生涯価値です。二週間で得た商談がその後どう決着するかは検証期間の外にあり、獲得した顧客がどれだけの期間取引を続けるかも測れません。前掲の案件で成約2件という結果が出ていますが、これも受注率の目安として使える数ではありません。
この境界を最初に共有しておくと、後半で扱う判断基準の話が誤読されずに済みます。少額検証で下せるのは、需要という前提が成り立つかどうかの判断であり、事業計画の精度を上げる判断ではありません。この二つを混同すると、検証結果に対して答えの出ない問いを立てることになります。
続ける・止めるの判断基準をどう設計するか

基準は開始前に決める
判断基準は、配信を始める前に決めて記録します。数字が出そろってから作ると、結果に合わせて基準のほうが動くためです。
期待を下回る数字が出たとき、初期は学習期間だから評価に含めない、という説明は後からいくらでも成立します。逆に、想定より良い数字が出たときに、この水準なら十分だと後づけで線を引くこともできます。どちらも、その場では筋が通って見えます。ただしこの手順で下した判断は、次の意思決定の材料になりません。何を根拠に続けたのかが残らないためです。
事前に決めておけば、判定の作業は実績を基準に照らすだけになります。担当者の主観が入る余地が減り、続ける場合も止める場合も同じ形式で説明できます。
見る順序を間違えると判断を誤る
BtoBでは、成約、商談、問い合わせ、クリック率の順に見ます。上位の指標で判断がつかない場合にだけ、下の指標へ下がります。
この順序は入れ替えないでください。新規事業では成約や商談の件数が一桁にとどまることが多く、統計的には判断材料として心もとない数字になります。そこで母数の大きいクリック率から見ようとする発想が出ますが、事業性を測る指標としてクリック率は成約の代わりになりません。クリックが伸びていても受注に至らない構造であれば、その事業は成立していません。
前のセクションで出した案件では、問い合わせが15件に対して成約は2件でした。問い合わせ件数だけを見れば手応えのある数字に見えます。ただし実際に事業として成立するかを問うなら、まず成約2件という事実から遡って読む必要があります。
順序を守ったうえで、上位の指標で判断がつかない場合に下へ下ります。成約が0件でも、商談が複数発生していれば、問題は提案内容や条件面にあると絞り込めます。商談も0件なら、問い合わせの質を疑います。この下り方であれば、下位の指標は原因の切り分けに使われるだけで、判断の主役にはなりません。
許容できる問い合わせ単価を逆算する
いくらまで払ってよいかは、相場ではなく自社の数字から出します。
許容問い合わせ単価
= 想定受注単価 × 粗利率 × 許容回収期間
÷(問い合わせ→商談率 × 商談→成約率)
分母の二つの率は、既存事業の実績があればそこから持ってきます。新規事業で実績がない場合は、仮の数字を置いたうえで、検証後に実測値へ差し替えます。この置き換えを前提にしておくと、検証そのものが率の精度を上げる作業を兼ねます。
どこを疑うかの切り分け
基準に届かなかったとき、次に必要なのは原因の特定です。どの段階で止まっているかによって、疑う場所が変わります。
| 起きていること | 疑う箇所 |
|---|---|
| 表示が出ない | 需要が存在しない。訴求ではなく仮説そのものの問題 |
| 表示は出るがクリックが極端に少ない | 広告文と検索意図のズレ |
| クリックは出るが問い合わせが0 | ランディングページまたはオファーの問題 |
| 問い合わせは出るが商談に進まない | コンバージョン地点の設定が浅い |
一行目と二行目は似て見えますが、示すものが違います。前掲の案件では、表示が11回発生してクリックが0だったキーワードがありました。表示が出ている以上、その言葉で検索する人は存在します。反応がなかったのは、提示した広告文が検索意図と噛み合っていなかったためです。一方、表示回数そのものが0のキーワードは、広告文を書き直しても状況が変わりません。探している人がいないためです。
この二つを取り違えると、需要がない領域で訴求の改善を繰り返すことになります。
社内合意用チェックリスト
検証を始める前に、次の項目を埋めて社内で合意します。
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 検証の目的 | 何を確かめるために実施するか |
| コンバージョンの定義 | 何をもって1件と数えるか |
| 投下予算の上限 | 総額いくらまでか |
| 期間 | 準備と配信をそれぞれ何日か |
| 判定に使う指標と順序 | 成約→商談→問い合わせの順に見ることを明記 |
| 達成ライン | 各指標について、いくつなら達成とするか |
| 未達だった場合の行動 | 止めるのか、仮説を変えて再検証するのか |
最後の行を空欄のまま始めないでください。未達だった場合の行動が決まっていないと、結局その場の判断に戻ります。
2週間の需要検証をどう回すか

2週間の内訳
需要検証にかける期間を二週間とした場合、配信に使えるのは全期間ではありません。前半に準備が入ります。
最初に、確かめたい仮説とキーワードを設計します。どの顧客セグメントに需要があると考えているのか、そのセグメントはどんな言葉で探すのかを対応させ、検証するキーワードに落とします。前掲の案件では30語規模を設定し、完全一致とフレーズ一致を半分ずつ配分しました。完全一致で狙った言葉の反応を正確に測り、フレーズ一致で想定外の検索語を拾う設計です。
次に、ランディングページと広告文を用意します。ここは作り込みではなく、反応を測れる最低限の構成で足ります。検証の目的は完成度の高いページを作ることではなく、需要の有無を確かめることだからです。
配信を始めたら、期間中に大きな変更を入れません。途中で訴求や配分を動かすと、何に対する反応だったのかが後から追えなくなります。集計と判定は、配信が終わってからまとめて行います。
自社の強みと市場の検索語句はずれる
この検証で最も情報量が多かったのは、反応があった訴求ではなく、反応がなかった訴求のほうでした。
前掲の案件では、事業者側が強みと考えていた訴求を複数試しています。品質管理の水準、小ロットからの対応、独自の管理技術。いずれも他社と比べたときの優位点として社内で認識されていたものです。
結果として、これらの訴求は表示回数が0、または表示されてもクリックが発生しませんでした。反応が返ってきたのは、業者を今すぐ探しているという検索意図そのものに合わせた訴求です。
この結果は、強みが強みでなかったことを意味しません。示しているのは、その言葉が検索の入り口では使われていないという事実です。顧客はまだ課題の解決手段を比較する段階にいないため、品質管理の水準という切り口で探していません。探しているのは、条件に合う業者そのものです。
したがって、これらの訴求は検索で出会うための言葉ではなく、出会ったあとに差別化するための言葉として使う場所を変えます。広告見出しから外し、ランディングページの本文に移すのが適切な配置になります。
補足すると、同じ内容をアンケートで尋ねた場合、おそらく別の結果が出ます。品質管理は重要ですかと聞かれれば、多くの回答者は重要だと答えます。聞いた答えと、実際に探された言葉は一致しません。この差は、実際に広告を配信しないと観測できません。
予算配分は最初から寄せない
もう一つ、当初の想定が外れた点があります。
前掲の案件では、複数の顧客セグメントに予算を振り分けて配信しました。このうち、事前の想定では有望度が高くないと見て予算配分を最小に抑えたセグメントが、問い合わせの3分の1を獲得しています。配分は全体の18%でした。獲得単価は全体平均の約55%で、セグメント間では最良と最下位で約2.2倍の開きが出ています。
つまり、開始前の見立ては当たっていませんでした。もし最初から有望と考えたセグメントに予算を集中させていた場合、この結果は観測できないままでした。
同時に、コンバージョンに繋がらなかった消化が全体の約28%発生しています。金額にすると三万円弱です。情報収集段階の広い言葉や、隣接業種を狙ったキーワードに使われました。
この28%を、無駄な支出として片づけるかどうかで検証の位置づけが変わります。実際にはこれは、どこに需要がないかを特定するために支払った金額です。仮にこの部分を最初から外していれば、支出は抑えられた一方、その領域に需要がないという情報も得られませんでした。次に予算を投じる先を決めるとき、外れが分かっていることは当たりが分かっていることと同じだけ効きます。
検証の設計としては、初期段階で意図的に配分を散らし、二週間後に寄せ先を決める順序を取ります。当てにいく設計ではなく、外れを特定する設計です。
依頼先の選択肢を比較する

5つの選択肢
需要を確かめる、あるいは集客を始めるにあたって、取りうる手段は五つあります。それぞれ分かることと費用が違うため、並べて比較します。
| 選択肢 | 分かること | 費用の目安 | 期間 | 向くケース |
|---|---|---|---|---|
| 何もしない | — | 0円 | — | 既存事業への投資のほうが効率が高い局面 |
| 内製で広告を回す | 実際の需要と訴求の反応 | 広告費のみ | 数週間〜 | 運用スキルが社内にあり、担当を割ける |
| 広告代理店 | 実際の需要と、継続的な改善 | 月十万円台〜数十万円 | 数か月〜 | 需要が確認済みで、拡大に移る段階 |
| 調査会社 | 市場規模、認知度、購買意向 | 数十万円〜 | 数週間〜 | 定量的な市場規模の根拠が必要 |
| 検証サービス | 需要の有無と訴求の当たり外れ | 十万円台〜 | 2週間程度 | 需要が未確認で、判断を急いでいる |
費用はいずれも一般的な目安であり、規模や依頼範囲によって上下します。
この表で確認してほしいのは、金額の大小ではなく、分かることの列です。同じ費用を払っても、返ってくる情報の種類が違います。市場規模の推計が必要なのに広告を回しても答えは出ませんし、需要の有無を確かめたいのに市場規模を調べても、自社の商材が選ばれるかどうかは分かりません。
調査と広告テストは判断材料の性質が違う
調査会社への依頼と、広告を使った需要テストは、しばしば代替関係として語られます。ただし両者が答えられる問いは重なりません。
調査で得られるのは、市場全体の規模、競合の認知度、想定顧客の購買意向といった情報です。事業計画に載せる数字や、経営会議で市場の大きさを説明する場面では、この形の根拠が要ります。広告テストからは市場規模を推計できません。測っているのは、特定の言葉で探した人がどれだけいて、そのうち何人が反応したかという、限られた範囲の実測値だからです。
一方で広告テストが答えられるのは、実際に探している人が存在するか、どの訴求に反応が返ってくるかという問いです。前のセクションで扱ったとおり、聞いた答えと探された言葉が食い違う場面があります。意向として重要だと答えられた要素が、検索の入り口では使われていないというずれは、実際に配信して初めて観測できます。
どちらが優れているかではなく、今どちらの問いに答える必要があるかで選びます。市場規模の根拠を求められている段階で広告テストを持ち出しても、社内の要求には応えられません。逆に、市場が十分に大きいことが分かっていて、自社の商材が選ばれるかを確かめたい段階であれば、調査を重ねても判断は進みません。
両方を実施する余力があるなら、順序としては需要の有無を先に確認し、その後に市場規模を精査する流れが噛み合います。需要が確認できなければ、市場規模を調べる意味そのものが薄くなるためです。
内製と外部委託の分かれ目
社内で広告を回せる場合、外部に払う運用費が不要になります。この差は小さくありません。
判断の目安は二つです。ひとつは、運用に必要な工数を継続的に確保できるかどうか。もうひとつは、検証の設計を組める人がいるかどうかです。配信の操作そのものは調べれば実行できます。難しいのは、何を確かめるためにどのキーワードを置き、どの数字がどうなれば何が言えるのかを事前に決める部分です。
ここが曖昧なまま配信すると、数字は集まるのに判断に使えない、という状態になります。設計を社内で組めるなら内製で足ります。組める人がいない場合に、外部に出す理由が生まれます。
何もしないという選択も判断のうち
検証にも費用と時間、そして担当者の工数がかかります。新規事業に着手すること自体が前提になっていると見落とされますが、着手しない判断が合理的な局面もあります。
既存事業に投じたほうが回収が早い場合、あるいは検証結果が出たとしても事業化に進む体制を用意できない場合、いま検証を実施しても判断材料が宙に浮きます。検証は、結果を受けて次の行動を決められる状態にある事業に対してのみ、意味を持ちます。
前のセクションで挙げたチェックリストの最後の行、未達だった場合の行動が埋まらないのであれば、着手を先送りする判断も選択肢に入ります。
この数字の限界と、読むときの注意

記事の中で出した数値は、すべて一件の案件から得たものです。法人向けの備品・資材レンタル系サービス、検索広告のみ、運用期間は二週間。この条件の外側には持ち出せません。
まず、獲得単価と反応率をベンチマークとして使うことはできません。検索広告のクリック単価は競合の出稿状況で変わり、コンバージョン率は商材の単価と検討期間で変わります。業種が変われば桁ごと動きます。この記事の数値を目標値として設定すると、達成できても未達でも、そこから読み取れることはありません。
次に、問い合わせから成約までの歩留まりを率として扱うこともできません。成約は2件です。母数が一桁である以上、そこから受注率を導いても、次の検証で再現される保証はありません。この案件で成約が発生したという事実までが、確認できた範囲です。
三つ目に、二週間という期間で測れたのは需要の有無と訴求の反応までです。獲得した商談がその後どう決着したか、取引がどれだけ続いたかは、検証期間の外にあります。この記事は、検証によって事業がうまくいったという話をしていません。
では何が持ち出せるか。指標を見る順序と、詰まった箇所の切り分け方です。成約から遡って読む順序は、母数の大小に関係なく成り立ちます。表示が出ないのか、クリックが出ないのか、問い合わせが出ないのかで疑う場所が変わるという切り分けも、業種を問いません。
もうひとつ、表示回数が0の訴求には需要が存在しないという判定も、そのまま使えます。これは水準の比較ではなく有無の確認なので、商材の性質に左右されません。自社が強みと考えている言葉で表示が出ないなら、その言葉は検索の入り口では使われていない、と言い切れます。
数値そのものではなく、この二つを持ち帰ってください。
明日から動かすための3ステップ

最後に、この記事の内容を実際の作業に落とします。三つあります。
ひとつ目は、自社の新規事業が今どの段階にいるかを確定させることです。需要が存在するかどうかがまだ確認できていないなら、手法の選定はその後になります。指名検索が発生しておらず、導入事例も紹介も存在しない状態であれば、需要検証前だと考えて構いません。
ふたつ目は、許容できる問い合わせ単価を逆算することです。想定受注単価と粗利率、許容できる回収期間、そして問い合わせから商談、商談から成約への率を入れて算出します。新規事業で実績がなければ仮の数字で置き、検証後に実測値へ差し替えます。相場から引っ張ってこないでください。
三つ目は、検証開始前のチェックリストを埋め、社内で合意することです。目的、コンバージョンの定義、予算の上限、期間、見る指標と順序、達成ライン、そして未達だった場合の行動。最後の行まで埋まって初めて、判断の基準として機能します。
この三つが終われば、続けるか止めるかを数字で説明できる状態に入ります。逆に、ここを飛ばして配信を始めると、数字は集まるのに判断に使えないという状態になります。
その新規事業、「売れるか」を2週間で確かめられます
カリアドは、新規事業の需要検証に特化したサービスです。
調査レポートや社内の議論では、結局「売れるかどうか」は分かりません。検証用LPを作り、実際に広告を配信し、見込み客が反応するかどうかを数値で確認します。
開発に数百万円を投じる前に、まず市場に聞く。それが最も安く、最も速い意思決定の方法だと考えています。
期間は2週間程度、費用は定額。検証レポートと広告の生データをお渡しするので、そのまま社内報告にお使いいただけます。
まずは無料相談から。検証すべき仮説の整理だけでもお役に立てます。

