新規事業の検証を外注する費用は?手段別の相場と判定基準

この記事でわかること
  • 新規事業の検証の外注費用は「確かめたい問い」で決まる
  • 検証手段別の費用相場と、得られる数値・得られない数値
  • 検証予算の逆算方法:何件の反応が必要かから広告費を決める
  • 検証結果の読み方:分かること、分からないこと
  • 外注先の見積もりを比較するチェックリスト

新規事業の検証を外注しようとすると、見積もりの金額が会社ごとに大きく違い、判断に迷うのではないでしょうか。結論は次のとおりです。

問い結論 
費用はいくらかかるか確かめたい問いによって、数万円から1,000万円以上まで変わる
需要の有無だけを確かめたい場合は開発の前に、LPと広告で数十万円程度+広告費から確かめられる
結果は何で判断するか事前に決めた基準に照らし、成約→商談→問い合わせの順に見る

なお、筆者はLPと広告による検証サービスを提供しています。そのため比較表では、自社の手段についても「分からないこと」を他の手段と同じ粒度で書いています。また、本記事で紹介する数値は筆者が支援した1件の実例であり、相場として示すものではありません。

目次

新規事業の検証の外注費用は「確かめたい問い」で決まる

新規事業の検証を複数社に見積もり依頼すると、金額が1桁以上違うことがあります。同じ「検証」という言葉でも、各社が想定している作業の中身が異なるためです。インタビューを数件行うことを検証と呼ぶ会社もあれば、試作品を開発して使ってもらうところまでを検証と呼ぶ会社もあります。

そのため、金額を比べる前に、自社が何を確かめたいのかを決めておく必要があります。確かめたい問いが決まれば使うべき手段が決まり、費用の水準もおおよそ見えてきます。

検証で確かめる問いは4種類ある

新規事業の検証で確かめる問いは、大きく次の4つに分けられます。

  • 需要はあるか:その商品やサービスを探している人が一定数いるか
  • 顧客の課題は本物か:想定した困りごとを、お金を払ってでも解決したいと考えているか
  • その価格で成約するか:関心を持った顧客が、提示した条件で実際に契約するか
  • 技術的に作れるか:想定した機能や品質を、現実的な費用と期間で実現できるか

一般的には、「検証」という言葉がこの4つを区別せずに使われる傾向にあります。特に検証とPoC(概念実証)が同じ意味で扱われることが多く、PoCが主に答えを出すのは4つ目の問いです。そのため、需要を確かめたいだけの段階でも、開発を含む見積もりが出てくることがあります。

また、4つの問いには確かめる順番があります。需要が確認できていない段階で技術的な検証を進めると、作れると分かった後で買い手がいないと判明することがあります。一般論として、上流にある需要や課題の問いから順に確かめるほうが、費用を無駄にしにくい進め方だと考えています。

問いと検証手段の対応表

4つの問いと、それぞれに適した検証手段を整理すると次のようになります。

確かめたい問いこの問いが残っている状況適した検証手段得られる答えの形 
需要はあるかアイデアはあるが、探している人がいるか分からないLPと広告による反応の測定、検索ボリュームの調査表示・クリック・問い合わせの件数
顧客の課題は本物か想定顧客は見えているが、困りごとの深さが分からない顧客インタビュー、アンケート調査顧客の発言、回答の分布
その価格で成約するか関心は確認できたが、契約に至るか分からない問い合わせ後の商談・受注の追跡、価格を提示したテスト販売商談件数、成約件数、成約した条件
技術的に作れるか買い手は見えているが、実現方法に不確実性があるPoC、プロトタイプ・MVPの開発動作の可否、性能や品質の実測値

使い方としては、まず自社の事業で答えが出ていない問いに印を付けることをおすすめします。印が付いた行の「適した検証手段」が、外注先を探すときの候補になります。

印が複数の行に付いても、すべてを一度に外注する必要はありません。上の行から順に確かめ、その結果を見て次の検証に予算を出すかを決めるほうが、社内の承認も得やすくなるでしょう。次の見出しでは、検証手段ごとの費用のレンジと、得られる数値・得られない数値を比較します。

検証手段別の費用相場と、得られる数値・得られない数値

前の見出しで整理した問いに対して、外注先の選択肢は大きく8つあります。ここでは内製と「検証しない」も含めて、費用のレンジと、それぞれの手段で得られる数値・得られない数値を並べます。

8つの選択肢の比較表

費用は各社の公開情報と、一般に公開されている相場記事をもとにしたレンジです。出典は表の下にまとめています。

選択肢費用のレンジ期間の目安得られる数値得られない数値向いている問い 
内製担当者の人件費+ツール費・広告費本業との兼務で数か月手段による手段による社内に経験者がいれば全般
検証しない直接費は0円―なしすべて―
ネットリサーチ(アンケート)セルフ型で数万円〜、委託型で100人・10問8万〜15万円程度数日〜数週間回答の分布、定量的な傾向実際の問い合わせ・購買行動顧客の課題は本物か
インタビュー調査BtoBの謝礼は1人1万〜3万円程度。募集と設計の費用は別途募集を含めて数週間顧客の発言、課題の背景と優先度行動の件数、市場の規模感顧客の課題は本物か
広告代理店にLP制作と運用を依頼LP制作10万〜100万円程度+運用手数料(広告費の20%、最低4万〜20万円程度)+広告費LP制作後、契約期間は3〜6か月が一般的表示・クリック・問い合わせの件数成約率の再現性、価格の受容性需要はあるか
LPと広告による検証特化サービス数十万円程度+広告費の実費数週間表示・クリック・問い合わせの件数、訴求ごとの反応成約率の再現性、価格の受容性、継続率需要はあるか
検証スタジオ・新規事業コンサル検証スタジオで50万〜250万円程度、コンサルで500万〜1,500万円程度2週間〜6か月インタビュー結果、プロトタイプへの反応、事業計画実際の購買・問い合わせの件数(手段による)課題は本物か、事業としてどう組むか
PoC・MVP開発PoCの外注で計400万〜700万円程度、MVPで100万〜1,500万円程度数か月動作の可否、利用データ、性能の実測値開発前の需要の有無技術的に作れるか

出典:ネットリサーチはSurveroid、インタビュー謝礼はマクロミル、広告代理店のLP制作費・手数料はPLAN-B(61社調査)とロックビル、検証スタジオとコンサルはLITMUS、PoCはSun Asterisk(計画・開発・実証の各フェーズの合計)、MVPはSwoooの公開記事によります。LPと広告による検証特化サービスは、公開価格を確認できた事業者が少なく、筆者のサービス(25万円+広告費の実費)を含む範囲で記載しています。

この表で見てほしいのは、費用の列よりも「得られない数値」の列です。どの手段にも得られない数値があり、そこが次の検証で確かめる対象になります。

内製:直接費は小さいが、人件費と期間がかかる

内製の費用は、担当者の月額人件費に稼働月数と稼働の割合を掛けて見積もると実態に近くなります。本業と兼務する場合は期間が延びやすく、その分だけ人件費も積み上がります。

内製が向いているのは、広告運用やインタビュー設計の経験者が社内にいる場合です。経験者がいない場合は、学習にかかる時間も費用に含めて外注と比べることをおすすめします。

調査・インタビュー:顧客の声は取れるが、行動の件数は取れない

ネットリサーチとインタビューは、顧客の課題や優先度を掘り下げるのに向いた手段です。特にインタビューは、想定していなかった困りごとが見つかる点に価値があります。

一方で、どちらも「聞いた答え」を得る手段であり、実際に問い合わせや購買をするかどうかは分かりません。BtoBでは対象者の出現率が低く、アンケートの回収費用や、インタビューの募集にかかる期間が大きくなる傾向にあります。

広告代理店と検証特化サービス:同じLPと広告でも、契約の前提が違う

LPと広告を使うという点では、広告代理店も検証特化サービスも手段は共通しています。違いは契約の前提にあり、代理店は継続運用を前提にした料金体系、検証特化サービスは期間を区切って判定材料を納品する料金体系になっている傾向にあります。

そのため、どちらを選ぶかは、検証の後もそのまま広告運用を続けたいかどうかで決めるとよいでしょう。続ける前提であれば代理店に最初から依頼するほうが引き継ぎの手間がなく、判断材料だけが欲しい場合は期間の決まった契約のほうが費用を読みやすくなります。なお、筆者の提供サービスは後者の類型に入ります。

検証スタジオ・コンサル・PoC開発:事業計画や技術まで確かめるなら必要になる

検証スタジオやコンサルは、インタビューやプロトタイプを通じて課題を確かめ、事業計画の形にまとめられることが強みです。PoCやMVPの開発は、技術的に作れるかという問いに直接答えを出せる手段です。

ただし、費用は数百万円からの水準になります。需要がまだ確認できていない段階でこの費用をかけると、作った後に需要の問いが残ることになるため、前の見出しで述べた順序と合わせて判断してください。

検証しない:合理的な場合もある選択肢

検証しないという選択にも合理性がある場合があります。たとえば、撤退にかかる費用が検証費用より小さい場合や、既存顧客から発注の確約がある場合です。また、小さく販売を始めること自体が最も安い検証になる事業もあります。

ただし、検証しないで進める場合は、何が起きたら撤退するかを事前に決めておく必要があります。決めておかないと、続けるかどうかを誰も判断しないまま費用が出続けることがあります。

参考:LPと広告による検証の実例

以降の見出しでは、筆者が支援した1件の実例の数値を参照します。条件と結果の概要は次のとおりです。

項目内容 
業種宿泊・レンタル事業者向けのBtoBサプライ業
手法検索広告とLPによる反応の測定
期間2週間
キーワード30語(完全一致15語、フレーズ一致15語)、顧客層ごとに5分類
CVの定義フォームからの問い合わせ・資料請求
広告費約10万円
結果問い合わせ15件、うち商談5件、成約2件
判定続ける(GO)

商談と成約は、問い合わせを受けた後にクライアント企業の営業が対応した結果です。また、これは1件の実例であり、同じ費用で同じ結果が出ることを示す相場ではありません。

検証予算の逆算方法:何件の反応が必要かから広告費を決める

LPと広告で検証する場合、費用のうち配信の規模によって変わるのは広告費です。広告費を予算の余りから先に決めてしまうと、判断に足りる件数が集まらないまま期間が終わることがあります。そのため、先に必要な件数を決め、そこから広告費を逆算する順番をおすすめします。

必要な件数から広告費を出す式

広告費は、次の式で見積もることができます。

広告費 = 必要な問い合わせ件数 ÷ 想定CVR × 想定クリック単価

必要な問い合わせ件数は、自社の商談化率から決めます。たとえば過去の実績で問い合わせの3件に1件が商談になっているなら、商談を数件見るためには、その3倍程度の問い合わせが必要になります。BtoBの検証は件数が一桁に収まることが多いため、「何件あれば判断するか」を先に決めておかないと、少ない件数で結論を急ぐことになります。

想定クリック単価は、Googleのキーワードプランナーで表示される入札単価の目安から置くことができます。一方で、想定CVRは新しい事業では事前に読めない値です。そのため1つの値に決めず、低い場合・中間・高い場合の数通りで計算し、必要な広告費を幅で持っておくほうが実態に合います。

説明のための仮の値として、必要な問い合わせを10件、クリック単価を500円と置いてみます。この場合、CVRが5%なら広告費は10万円、2.5%なら20万円になります。これは計算の仕組みを示すための値であり、目安ではありません。

フィー(固定費)と広告費(変動費)を分けて稟議に載せる

外注先の見積もりでは、広告費の扱いが会社によって異なります。広告費が実費精算の場合、フィーに含まれている場合、広告費に対する手数料率で請求される場合があり、同じ総額でも実際に広告に使われる金額が変わります。

そのため稟議では、フィーと広告費を別の行に分けて載せることをおすすめします。

項目性質稟議に書くこと 
検証フィー固定費含まれる作業の範囲(LP制作・運用・レポート)
広告費変動費上限額と、上限に達した場合の扱い
手数料広告費に連動料率と最低額の有無

広告費を変動費として扱い、上限額を決めておくと、承認者は最大でいくら出ていくのかを把握できます。また、予定より少ない消化で判断に足りる件数が集まった場合に、配信を止める条件も一緒に書いておくとよいでしょう。

答え合わせ:広告費約10万円で、どの段階まで届いたか

前の見出しで紹介した実例の数値を、段階ごとに並べると次のようになります。右端の列は、自社の計画値や実績を書き込むための空欄です。

段階件数前の段階からの移行率1件あたりの広告費
表示1,850――
クリック1297.0%約760円
問い合わせ1511.6%約6,500円
商談533%約2万円
成約240%約4.9万円

この実例では、約10万円の広告費で問い合わせが15件集まり、その先の商談と成約まで追うことができました。少額の広告による検証でも、受注という最上位の指標まで確認できる場合があります。

ただし、この表の移行率を自社の計画にそのまま使うことはおすすめしません。問い合わせから商談への33%や、商談から成約への40%は、件数が少ないため統計的な幅が大きく、別の事業で同じ値になるとは言えないためです。また、商談と成約はクライアント企業の営業が対応した結果です。成約は納品後の追跡で確認したものです。判定基準と判定表:「続ける/やめる/判断不能」を事前に決める

検証の結果の数字だけでは、事業を続けるかどうかは決まりません。基準を持たずに数字を見ると、社内の期待や力関係によって読み方が変わってしまうためです。ここでは、指標を見る順番、事前の基準の置き方、結果の判定方法を表にまとめます。

評価は成約→商談→問い合わせ→クリック率の順に見る

BtoBの新規事業では、評価は成約から見るのが原則です。成約は事業の成果に最も近い指標であり、商談、問い合わせ、クリック率と下に行くほど、事業の成果から遠い指標になります。

ただし検証の段階では、成約の件数が少なく、成約だけでは判断がつかないことがよくあります。その場合に初めて、商談、問い合わせ、クリック率の順に一段ずつ下りて判断します。

ここで注意したいのは、「件数が少ないからクリック率で判断する」という順番の逆転です。クリック率は件数が多く集まるため扱いやすい指標ですが、クリックが多いことと、契約する顧客がいることは別の事柄です。下位の指標は、上位の指標で判断がつかないときの補助として使うという位置付けを崩さないようにしましょう。

事前に基準値を置く指標、置かない指標

判定の基準は、検証を始める前に決めて、外注先と文書で合意しておく必要があります。結果を見てから基準を決めると、どのような結果でも「続ける」と読めてしまい、判定の意味がなくなるためです。

一方で、指標には事前に基準値を置けるものと置けないものがあり、筆者は次のように分けています。

区分指標理由 
事前に基準値を置く問い合わせ1件あたりの許容上限額(許容CPA)自社の粗利と成約率から逆算でき、根拠のある値を置けるため
事前に基準値を置く想定した顧客層から反応が出るか事業の前提となる仮説そのものであり、出なければ前提を見直す必要があるため
基準値を置かない表示回数、CVR新しい事業では過去のデータがなく、根拠のある値を置けないため

表示回数とCVRは、結果の読み取りと次の検証の設計に使い、合否の判定には使いません。根拠のない基準値を置くと、結果に合わせて後から動かされやすいためです。

許容CPAを自社の数字から逆算する式

許容CPAは、次の式で求めることができます。

許容CPA = 顧客1社から得られる粗利 × 問い合わせから成約に至る率 × 獲得費用に充ててよい割合

顧客1社から得られる粗利には、継続取引であれば想定する取引期間の累計を入れます。問い合わせから成約に至る率には、既存事業の過去の実績を入れてください。他社の事例や業界平均を入れると、判定そのものが他社の条件に左右されてしまいます。

最後の「獲得費用に充ててよい割合」は、粗利のうちどこまでを顧客獲得に使ってよいかという経営判断です。ここは数字で決まるものではないため、稟議の段階で承認者と合意しておくことをおすすめします。

状態別の判定表

検証の結果は、次のどの状態に当てはまるかで判定します。右端の列には、前の見出しで紹介した実例がどれに当てはまったかを示しています。

観測された状態意味次の行動実例 
成約が出て、問い合わせの獲得単価が許容CPA以内最上位の指標で需要を確認できた続けると判定し、拡大の計画に進む該当(成約2件)【要確認:事前の許容CPA】
成約は0件だが、商談化率が自社の通常水準以上成約を判断するには件数が足りない商談の追跡期間を延ばす、または配信を追加する―
問い合わせはあるが、商談にならない反応している顧客層が想定とずれている顧客層か訴求を見直して再検証する―
クリックはあるが、問い合わせが0件LPの内容か申し込みの条件に課題があるLPを修正して再測定する―
表示回数が0件その言葉では検索されていない広告で使う言葉を入れ替える一部の訴求で発生
どの段階も件数が少なすぎる判断不能予算かキーワードを広げて再測定し、やめるとは判定しない―

最後の行を「判断不能」として独立させているのは、判定を「続ける」と「やめる」の二択にしないためです。二択にすると、判断のつかない結果が出たときに、社内で続けたい意見が強ければ「続ける」、懸念が強ければ「やめる」と判定されやすくなります。

指標によって、言い切れる精度が違う

同じ検証の結果でも、指標によって言い切れる精度が異なります。実例では、ある顧客層Aの反応が他の顧客層より強く見えましたが、統計的な幅(95%信頼区間)を計算すると次のようになりました。

指標顧客層Aその他の顧客層差があると言えるか 
クリック率(表示回数に対するクリックの割合)17.0%(11.8〜23.9%)6.1%(5.1〜7.3%)言える(幅が重ならない)
CVR(クリックに対する問い合わせの割合)20.0%(8.9〜39.1%)9.6%(5.3〜16.8%)言えない(幅が重なる)

※顧客層A:新興・小規模の宿泊事業者。括弧内はWilson法で計算した95%信頼区間。

クリック率は表示回数という大きな件数を分母にしているため、この規模の検証でも差を確認できます。一方で、CVRはクリック数が分母になり件数が少ないため、見かけ上は2倍の差があっても、偶然の範囲を超えているとは言えません。

この結果から、実例では判定を顧客層ごとではなく全体の成約と商談で行い、「続ける」と判定しました。顧客層Aに絞って展開するかどうかは、この検証の結論ではなく、次の検証で確かめる仮説として扱っています。検証結果を読むときは、数字の大小だけでなく、その差が件数に対して言い切れるものかどうかを確認するようにしましょう。

検証結果の読み方:分かること、分からないこと

LPと広告による検証では、需要の有無のほかにもう1つ分かることがあります。反対に、この手段では答えが出ないことも決まっています。両方を把握しておくと、結果を過大にも過小にも読まずに済みます。

売り手が考える強みと、検索される言葉はずれることがある

実例では、クライアント企業が自社の強みと考えていた訴求が2つありました。品質管理と小ロット対応ですが、これらをキーワードにした広告は2週間で1回も表示されませんでした。管理業務を表す一般的な言葉も、表示は11回でクリックは0件でした。一方で問い合わせにつながったのは、顧客層の名前と「業者を探している」という意図を組み合わせた言葉でした。

表示回数が0件という結果から分かるのは、その言葉で検索する人がいなかったという事実です。品質管理や小ロット対応に価値がないという意味ではありません。そのため実例では、これらの強みを検索で出会うための言葉ではなく、LPを訪れた人に他社との違いを伝える言葉として使うことを提案しました。

インタビューやアンケートで得られるのは、強みを提示されたときの評価であり、顧客が自分で探すときに使う言葉とは別のものです。実際の検索行動と照らし合わせて初めて売り手と買い手の言葉のずれが見えるという点も、この手段で得られる成果だと考えています。

少額の広告による検証で分からないことと、次に使う手段

一方で、少額の広告による検証では答えが出ない問いがあります。主な問いと、答えが出ない理由、次に使う手段を整理します。

分からないこと分からない理由次に使う手段 
成約率が再現するか件数が少なく、統計的な幅が大きい配信の継続、商談の追跡期間の延長
その価格で買うかLPでは価格を提示せず、問い合わせまでを測ることが多い商談での価格提示、価格を明示したテスト販売
継続して使うか検証期間が短く、契約後の行動まで追えない小規模な有償提供での利用状況の追跡
検索しない層に需要があるか検索広告は、自分から探している人にしか届かないインタビュー、SNS広告、個別の営業

この表のどの行が自社の事業で重要かによって、LPと広告の検証の次に何をするかが決まります。たとえば価格の受容性が最大の不確実性であれば、広告の配信を増やすよりも、商談で価格を提示して反応を記録するほうが答えに近づきます。

外注先の見積もりを比較するチェックリスト

複数社の見積もりを並べると、総額に目が向きがちです。しかし検証の見積もりは、含まれる範囲と得られる数値が揃っていなければ比較できません。次の表の質問を各社に投げ、回答を横に並べてから金額を比べることをおすすめします。

確認項目外注先に確認する質問回答が曖昧な場合に起きること 
検証の範囲どの問い(需要・課題・価格・技術)に答える検証か確かめたい問いと違う作業に費用を払う
判定基準の合意開始前に、判定の基準を文書で合意するか結果を見てから基準が決まり、判定が曖昧になる
得られる数値納品物に、どの指標の数値が何段階まで入るか表示とクリックだけが納品され、判断に使えない
生データの納品集計前の実績データを受け取れるか社内で再集計や別の切り口での分析ができない
広告費の扱い広告費は実費精算か、フィーに含まれるか総額が同じでも、実際に広告に使われる金額が変わる
手数料と最低額広告費に対する料率と、最低手数料はいくらか少額の検証で、手数料の比率が想定より高くなる
担当する範囲問い合わせまでか、商談・成約まで追うか商談以降の追跡が誰の担当か決まらず、成約の数値が残らない
契約の形と途中終了期間を区切った契約か、継続前提か。途中で止める条件は何か検証を終えたいのに、契約期間の縛りで費用が続く
次の段階での利害検証の後に、開発や運用の受注を想定しているか判定の説明が、次の受注に有利な方向に寄っていないかを確かめられない

表の中で答えが「いいえ」または「不明」になる項目は、その見積もりに含まれていない作業だと考えるとよいでしょう。含まれていない作業を社内で担うのか、別に発注するのかを決めてから、総額を比べるほうが正確です。

最後の「次の段階での利害」は、外注先が利害を開示しているかと、判定の根拠を数値で示しているかを確かめるための項目です。ほとんどの外注先は検証の後の開発や運用も事業にしており、筆者の場合も、検証の後に広告運用を継続して受託することがあります。利害があること自体は問題にならないため、利害の開示と判定の根拠をセットで確認することをおすすめします。

稟議にそのまま使える検証計画の1枚

ここまでの内容を、検証の稟議に添付できる1枚の計画書にまとめます。右端の列は、実例を加工した記入例です。

項目書く内容記入例 
確かめる問い4つの問いのうち、今回答えを出すもの新しい顧客層に需要はあるか
検証の手段問いに対応する手段と、外注先検索広告とLPによる反応の測定
期間配信期間と、商談・成約を追跡する期間配信2週間
費用の内訳フィー、広告費の上限、手数料を別々にフィー25万円、広告費の上限(実績は約10万円)
事前の判定基準許容CPAと、反応を見る顧客層許容CPA、想定した5つの顧客層
判定ごとの行動続ける・やめる・判断不能のそれぞれで次に何をするか続ける場合は反応の強い顧客層で再検証、判断不能の場合は配信を追加
この検証で分からないこと答えが出ない問いと、次に使う手段価格の受容性と継続率は、商談での価格提示で確かめる

この1枚で承認者に見てもらいたいのは、「判定ごとの行動」の行です。結果が出る前に、どの結果ならどう動くかを合意しておけば、結果が出た後の議論は判定表に当てはめる作業だけになります。

反対に、この表で埋められない行がある場合は、その部分が社内でまだ決まっていないということです。埋められない行を外注先との最初の打ち合わせで相談するのも、1つの進め方です。

その新規事業、「売れるか」を2週間で確かめられます

カリアドは、新規事業の需要検証に特化したサービスです。

調査レポートや社内の議論では、結局「売れるかどうか」は分かりません。検証用LPを作り、実際に広告を配信し、見込み客が反応するかどうかを数値で確認します。

開発に数百万円を投じる前に、まず市場に聞く。それが最も安く、最も速い意思決定の方法だと考えています。

期間は2週間程度、費用は定額。検証レポートと広告の生データをお渡しするので、そのまま社内報告にお使いいただけます。

まずは無料相談から。検証すべき仮説の整理だけでもお役に立てます。

この記事を書いた人

Webマーケティング歴8年超。Web広告代理店でのコンサルタント職を経て、事業会社にて責任者としてリード獲得体制をゼロから構築。現在はSaaS企業のマーケティングを担当しながら、カリアドで新規事業の需要検証を手がけています。広告運用の実データにもとづく検証設計を専門としています。

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