新規事業の市場規模の根拠がわからない 社内で説明できる示し方

この記事でわかること
  • 市場規模の根拠が「わからない」のは、推計の前提に確かめていない数字が混ざっているから
  • 市場規模の基本:TAM・SAM・SOMと2つの推計方法
  • 市場規模の根拠になる情報源と、それぞれで埋められる前提
  • 根拠を強くする4つの手順:前提を分解し、最も効く1つを確かめる
  • 【判断基準】社内説明にそのまま使える「前提と根拠の強さ」チェック表

新規事業の市場規模を資料にまとめようとしても、対象にぴったり合う統計が見つからないことがあります。数字は出せたものの、根拠を聞かれて説明に詰まる場面もあるのではないでしょうか。結論から言えば、足りないのは調べ方ではなく、前提の扱い方です。推計に使った前提のうち出所のない数字を特定し、判断を最も左右する1つを確かめれば、社内で説明できる根拠になります。

よくある問いこの記事の答え
根拠が弱いと指摘される原因は何か導入率などの前提に、出所のない「置いただけ」の数字が混ざっていること
何から手をつければよいか推計を「対象社数×導入率×単価」の前提に分解し、確認済み・推計・未確認に区分すること
どこまで揃えれば社内で通るかすべての前提に出所があり、未確認の前提を明記したうえで、判断を左右する1つを確かめる基準まで決めていること

この記事では、根拠が弱くなる原因、市場規模の基本的な考え方、根拠を強くする手順を順に説明します。後半では、実際の事例とあわせて、社内説明にそのまま使えるチェック表と依頼先の選び方を紹介します。

目次

市場規模の根拠が「わからない」のは、推計の前提に確かめていない数字が混ざっているから

新規事業の資料で市場規模を示すと、経営会議で「この数字の根拠は?」と問われる場面があります。調べ直して出典を足しても、同じ指摘を受け続けることがあります。これは調べる量が足りないためではなく、資料の中に根拠を弱くしている箇所が残っているためです。まずは、その箇所がどこにあるのかを整理していきます。

「根拠が弱い」と指摘される資料に共通する3つの状態

1つ目は、数字の出典が書かれていない状態です。調査会社のレポートや公的統計から引いた数字であっても、出典と調査年が資料に書かれていなければ、読み手は確かめようがありません。作った本人は出所を知っていても、決裁者からは出所の分からない数字として扱われることになります。

2つ目は、市場の定義があいまいなまま数字を出している状態です。同じ事業でも、対象を業界全体とするか、特定の規模の企業に絞るかによって、市場規模は桁ごと変わります。どこで線を引いたのかが書かれていないと、その数字が大きすぎるのか妥当なのかを読み手は判断できません。

3つ目は、導入率や単価が「置いただけ」の数字になっている状態です。BtoBの市場規模は、対象企業数に導入率と単価を掛けて推計することが一般的です。このうち対象企業数は統計で裏づけられることが多い一方で、導入率は裏づけのないまま置かれる傾向にあります。

1つ目と2つ目は、情報源と定義を整えれば解消できます。しかし3つ目は、統計やレポートをいくら調べても埋まらないことがあります。この記事で中心的に扱うのは、この3つ目の状態です。

決裁者が「根拠」として確かめていること

決裁者が「根拠は?」と聞くとき、確かめているのは数字が正確かどうかだけではありません。新規事業の市場規模は将来についての推計であるため、一定の誤差を含むことは避けられず、決裁者もそれを前提に資料を読んでいます。そのうえで知りたいのは、それぞれの前提がどこから来た数字で、どの程度確かなのかという点です。

そのため、出所の確かな前提と仮に置いた前提とを区別して示した資料は、数字が粗くても説明として成り立ちます。反対に、すべての前提が同じ確からしさで書かれている資料は、どれほど細かく計算されていても、どこを信じてよいのかが伝わりません。根拠を強くする作業は、数字を精緻にすることよりも先に、前提ごとの確からしさを見える形にすることから始まると考えています。

市場規模の基本:TAM・SAM・SOMと2つの推計方法

前提の確からしさを整理する前に、市場規模を示すときの基本的な枠組みを確認しておきます。新規事業の資料では、市場規模を1つの数字で示すより、TAM・SAM・SOMの3段階に分けて示すほうが伝わりやすくなります。どこまでが理論上の話で、どこからが自社の計画なのかを、読み手が区別できるためです。

TAM・SAM・SOMの違い

3つの指標は、対象とする範囲の広さが異なります。それぞれの意味と、どの判断に使うのかを整理すると次のとおりです。

指標意味主に使う判断根拠になりやすい出所
TAM(Total Addressable Market)製品・サービスが理論上すべての顧客に届いた場合の市場規模事業として十分な大きさの領域か公的統計、業界団体や調査会社のレポート
SAM(Serviceable Available Market)TAMのうち、提供地域・企業規模・業種などの条件から自社が提供できる範囲狙う顧客層の設定が妥当か統計の絞り込み、企業データベース、自社の提供条件
SOM(Serviceable Obtainable Market)SAMのうち、競合や自社の営業体制を踏まえて獲得を見込む範囲売上計画が現実的か導入率と単価の想定、自社の獲得実績

実務では、SOMは事業計画の売上目標とほぼ同じ意味で使われます。売上計画に直結するため、決裁者の質問もSOMに向かいやすくなります。また、表の右端の列を見ると、SOMは統計よりも自社が置いた想定に依存する指標だと分かります。

トップダウンとボトムアップ:BtoBでは「対象社数×導入率×単価」で組む

市場規模の推計方法には、トップダウンとボトムアップの2つがあります。トップダウンは、統計やレポートに示された市場全体の数字から出発し、条件を掛けて自社の対象範囲まで絞り込む方法です。短時間で全体像をつかめる一方で、出発点となる数字が存在しない新しい領域では使うことができません。

ボトムアップは、顧客の数と1社あたりの金額を積み上げて市場規模を組み立てる方法です。BtoBの新規事業では、次の式で組むのが基本になります。

市場規模(年間)= 対象社数 × 導入率 × 年間単価

たとえば中堅規模の製造業に業務システムを提供する場合、対象社数には従業員数で絞った製造業の企業数が入ります。導入率にはそのうち実際に導入する企業の割合が、年間単価には1社あたりの年間利用料が入ります。このうち対象社数は統計や企業データベースから引けますが、導入率と年間単価は作り手が想定して置くことになる場合がほとんどです。

両方の方法で推計できる場合は、結果を並べて比べることをおすすめします。2つの数字に大きな開きがあれば、どちらかの前提が現実とずれていることを示す手がかりになるためです。

SAMの線は、自社の提供条件だけでなく顧客側の区切り方でも確かめる

SAMの線は、提供地域や企業規模、業種といった自社側の提供条件で引くのが一般的です。この切り方であれば、統計や企業データベースを使って対象社数を数えることができます。

一方で、自社の強みを基準にして「その強みを必要とする企業」をSAMとする切り方もよく見られます。この場合、統計で数えられるのは業種や規模で区切られた企業であり、「その強みを必要とする企業」を直接数えることはできません。そのため、強みを基準に切ったSAMは、対象社数の段階からすでに置いた数字を含むことになります。

さらに、顧客は自社の業態や課題によって自分を認識しており、提供側の強みの言葉で自分を分類しているわけではありません。自社の強みを基準にSAMを切った結果、顧客が実際に使う言葉と一致しなかった例については、後半の事例で紹介します。

市場規模の根拠になる情報源と、それぞれで埋められる前提

前のセクションの式に当てはめると、情報源ごとに埋められる前提と埋められない前提がはっきり分かれます。情報源を探し始める前に、どの前提を埋めたいのかを決めておくと、調べる範囲を絞ることができます。

情報源ごとの比較

情報源埋めやすい前提埋めにくい前提費用の目安期間の目安
公的統計(経済センサスなど)対象社数導入率、単価無料数時間〜数日
業界団体の公表データ対象社数、業界全体の規模導入率無料〜会員向けは有料数日
調査会社の市販レポート既存市場の規模、主要企業の動向まだ存在しない市場の規模数万〜数十万円数日(購入の場合)
Webアンケート課題の有無、関心の度合い実際の導入率数万〜数十万円数日〜2週間
顧客へのインタビュー課題の深さ、価格の受け止め方対象社数、導入率の数値化謝礼は1人数千〜数万円2〜4週間

表を見ると、対象社数は公的な情報源で埋めやすい一方で、導入率を直接埋められる情報源は見当たりません。「置いただけ」の数字が導入率に集中しやすいのは、このためです。

アンケートの「使いたい」を、そのまま導入率に使わない

アンケートで「利用したい」と答えた割合を、そのまま導入率として使う資料があります。しかし、アンケートで測れるのは回答した時点での意向であり、費用を払って導入するかどうかという行動ではありません。回答者は予算や社内承認を考えずに答えられるため、意向の割合は実際の導入率より高く出る傾向にあります。アンケートの結果を使う場合は導入率の上限の目安として扱い、資料にも「意向ベース」と明記するのがおすすめです。

統計が存在しない新市場では、前提を明示することが根拠になる

まだ存在しない市場には、トップダウンの出発点になる数字がありません。そのため、フェルミ推定のように前提を積み上げて推計することになり、数字そのものの精度を上げるには限界があります。この場合に決裁者へ示すべきなのは、どの前提を何に基づいて置いたのかという一覧です。

根拠を強くする4つの手順:前提を分解し、最も効く1つを確かめる

ここまでで、根拠が弱くなる原因と、情報源ごとに埋められる前提の範囲を見てきました。このセクションでは、手元の推計を実際に強くするための手順を4つに分けて説明します。すべての前提を確かめるのではなく、判断を最も左右する前提に絞って確かめるという進め方です。

手順1|推計式を前提に分解する

最初に、資料に載せている市場規模を、どの数字を掛け合わせて出したのかという式の形に戻します。BtoBであれば、対象社数、導入率、年間単価の3つに分かれるのが基本です。トップダウンで推計した場合も、市場全体の数字に掛けた絞り込みの比率を1つずつ書き出すと、同じように前提の一覧になります。

手順2|各前提に出所をつけ、3つに区分する

次に、書き出した前提ごとに出所を記入し、次の3つのいずれかに区分します。

区分定義該当しやすい前提の例
確認済み出典のある統計や自社の実績で裏づけられている公的統計から引いた対象社数
推計根拠となる材料はあるが、変換や仮定を含んでいるアンケートの意向から導いた導入率
未確認材料がなく、作り手が想定して置いている感覚で置いた導入率や単価

区分する際は、未確認の前提があることを隠さずに書いてください。未確認の前提を推計のように見せると、決裁者に指摘されたときに資料全体の信頼が落ちます。反対に、未確認と明記されていれば、その前提をどう扱うかという建設的な議論に移ることができます。

手順3|判断への影響が最も大きい前提を1つ選ぶ

未確認や推計の前提が複数ある場合でも、すべてを確かめる必要はありません。すべてを確かめようとすると時間と費用がかさみ、事業を続けるかどうかの判断そのものが遅れるためです。

選び方としては、前提ごとに値を半分にした場合と2倍にした場合を試算し、続けるか続けないかの判断が変わるかどうかを確かめる方法がおすすめです。値を大きく動かしても判断が変わらない前提は、今の段階で確かめなくても問題ありません。判断が変わる前提のうち、区分が未確認のものが、最初に確かめるべき前提になります。

前のセクションで見たとおり、導入率は直接埋められる情報源がないため、この条件に当てはまりやすい前提です。ただし、自社の強みを基準にSAMを切っている場合は、対象社数そのものが未確認になっていることがあります。その場合は、対象社数から確かめることになります。

手順4|その前提を埋める手段を選ぶ

確かめる前提が決まったら、その前提の性質に合った手段を選びます。対象社数であれば統計や企業データベース、単価であればインタビューや競合の価格調査が向いています。導入率や獲得効率のように、実際の行動でしか確かめられない前提もあります。これらについては、試験導入や見込み客の行動を観測する方法を含めて、後のセクションで手段と依頼先を比較します。

なお、手段を選ぶ前に、どのような結果が出たら続けるのかという基準を決めておく必要があります。基準を後から決めると、出た結果に合わせて判断を寄せてしまうためです。この基準の置き方は、次のセクションで表にまとめています。

【判断基準】社内説明にそのまま使える「前提と根拠の強さ」チェック表

前のセクションの手順を、社内資料に貼れる形にまとめたのがこのセクションです。行は自社の推計に合わせて足したり削ったりして使ってください。

前提ごとのチェック表

前提現在の値と出所区分判断が変わる値確かめる手段の例
対象社数(SAMの切り方を含む)確認済み/推計/未確認統計、企業データベース
導入率確認済み/推計/未確認インタビュー、試験導入や先行受注の実績
年間単価確認済み/推計/未確認インタビュー、競合の価格調査
成約1件あたりの獲得費用確認済み/推計/未確認小規模な集客の試行、既存の営業実績

「判断が変わる値」の列には、前のセクションの手順3で試算した、続けるか続けないかが入れ替わる境目の値を書きます。現在の値がこの境目に近い前提ほど、確かめる優先度が高いということになります。

資料を出す前のチェックリスト

  • すべての前提に出所が書かれている
  • 未確認の前提が、未確認と明記されている
  • 続けるか続けないかの基準を、結果を見る前に決めて関係者と合意している
  • 幅のある前提は、不利な側の値で計算しても判断が変わらないことを確かめている

結論は「続ける・続けない・判断不能」の3つで用意する

結論条件次の行動
続ける確かめた前提が、不利な側の値でも基準を満たす次に効く前提へ進むか、事業計画に反映する
続けない確かめた前提が、有利な側の値でも基準を満たさない撤退するか、対象や提供価値を変えて設計し直す
判断不能値の幅が基準をまたいでいる、または件数が少なすぎる件数を増やすか、確かめる手段を変える

判断不能を正式な結論として置いておくと、どちらとも言えない結果が出たときに、社内の空気でどちらかに寄せられることを防げます。

幅のある前提は、下限の値で採算を確かめる

実測から得た率は、少ない件数から出したものほど幅が大きくなります。そのため率は1つの値ではなく幅で示し、採算の確認には不利な側である下限の値を使うのがおすすめです。獲得費用であれば、次の式で確かめます。

成約1件あたりの獲得費用 = 見込み客1件あたりの獲得費用 ÷ 見込み客から成約に至る率(幅の下限)

この値が、成約1件あたりの粗利から見て許容できる範囲に収まっていれば、率が不利な側に振れても採算は合うことになります。

前提を埋める手段と依頼先の種類・選び方

確かめる前提と判断の基準が決まったら、次はそれを誰がどの手段で確かめるかを決めます。社内で進める方法から外部に依頼する方法まで選択肢は複数あり、それぞれ確かめやすい前提が異なります。

依頼先・手段ごとの比較

依頼先・手段確かめやすい前提費用の目安期間の目安向いているケース注意点
内製(デスクリサーチ、既存顧客へのヒアリング)対象社数、単価社内工数のみ数日〜1か月統計で数えられる市場、既存顧客に近い領域担当者の仮説に沿った情報を集めやすい
調査会社対象社数、意向、単価の受け止め方数十万〜数百万円1〜2か月定量的な裏づけを社外の調査として示したい場合意向は測れるが、実際の行動は測りにくい
新規事業コンサル前提の洗い出しと優先順位づけ月額数十万円〜数か月前提の整理そのものに手が回らない場合実測の作業は別途必要になることが多い
広告代理店誰が反応するか、獲得効率広告費に運用手数料を加えた額1か月〜継続的な集客を前提に運用したい場合判断用の設計にするかは依頼時の要件次第
検証サービス誰が反応するか、訴求、獲得効率検証費と広告費の実費(当社は検証費25万円前後)2週間〜1か月続けるかどうかを短期間で判断したい場合対象社数や導入率など、市場規模そのものは測れない
何もしない―なし―投資額や撤退のコストが小さい場合未確認の前提を明記したうえで進める

費用と期間は、依頼する範囲や調査の規模によって大きく変わるため、目安として見てください。

選び方:確かめたい前提から逆算する

依頼先は、会社の規模や知名度ではなく、手順3で選んだ前提から逆算して決めるのがおすすめです。対象社数を確かめたいのであれば、統計で数えられるかどうかをまず内製で確認し、数えられない場合に調査会社を検討する順番になります。単価の受け止め方であれば、既存顧客や見込み客へのヒアリングから始めることができます。

誰が反応するかや獲得効率のように、実際の行動を見なければ分からない前提については、広告を使って見込み客の反応を測る方法が選択肢になります。社内に広告運用の経験者がいれば、内製でも進めることができます。ただし判断の材料として使うには、結果を見る前に基準を決め、測る指標を絞った設計にしておく必要があります。

「何もしない」が合理的なケース

前提を確かめる作業にも費用と時間がかかるため、確かめないほうが合理的な場合もあります。たとえば、投資額が小さく撤退のコストも低い場合や、既存顧客への先行提案のように実際に売ってみるほうが早い場合です。

【事例】検証で市場規模の前提はどう変わったか:法人向けレンタル・サプライ業のケース

ここからは、当社が実施した検証の事例をもとに、前提を実測で確かめると何が分かり、何が分からないのかを具体的に見ていきます。依頼企業は法人向けのレンタル・サプライ業で、新たな顧客層に向けた展開を検討している段階でした。

検証の条件

検証は、検索広告と専用のランディングページ(LP)を使い、見込み客の実際の反応を測る方法で行いました。条件は次のとおりです。

項目内容
期間2週間
広告費約10万円
キーワード30語(完全一致15語、フレーズ一致15語)を顧客層ごとに5つに分類
成果の定義LPのフォームからの問い合わせ・資料請求
分かること需要の有無、顧客層ごとの反応、訴求ごとの反応
分からないこと対象社数、導入率、単価

依頼企業は、宿泊施設や民泊の運営者を有望な顧客層と見込んでいました。また、自社の品質管理の設備や小ロットへの対応を強みと考え、その強みを広告の訴求にも使っていました。

想定していた訴求は表示ゼロ:SAMは顧客が自分をどう呼ぶかで切り直す

2週間で広告は1,850回表示され、129回クリックされ、15件の問い合わせにつながりました。一方で、品質管理を示す訴求と小ロット対応を示す訴求のキーワードは、表示回数がゼロでした。設備による管理の仕組みを示す訴求も、表示は11回にとどまり、クリックはありませんでした。

反応があったのは、「民泊」や「レンタル」といった業態の言葉と、業者を探している意図を組み合わせたキーワードです。顧客層ごとのクリック率は次のとおりです。民泊とレンタルは、汎用的なキーワードや清掃系のキーワードとクリック率の範囲が重なっておらず、差があると判断できます。

顧客層クリッククリック率(範囲)問い合わせ
民泊25約17%(約12〜24%)5件
レンタル16約16%(約10〜24%)2件
ホテル8約7%(約3〜12%)1件
汎用(業種名・業者)75約6%(約5〜7%)7件
清掃・洗濯系5約3%(約1〜7%)0件

※範囲はWilson法による95%信頼区間です。

この案件では、顧客は「品質管理の設備を必要とする企業」や「小ロットで発注したい企業」として検索してはいませんでした。強みの言葉で切ったSAMは、少なくとも検索という行動の上では確認できなかったということになります。ただし、表示がゼロだったことは、その強みに需要がないことを意味しません。強みは、検索で出会うための言葉ではなく、出会ったあとに選ばれる理由として使うのが適していると考えています。

問い合わせ15件→商談5件→成約2件:獲得効率の前提は「幅」で置き換わる

検証後に確認したところ、15件の問い合わせのうち5件が商談に進み、2件が成約しました。問い合わせから成約に至った割合は約13%ですが、件数が少ないため、95%信頼区間で見ると約4〜38%の幅があります。

問い合わせ1件あたりの広告費は約6,600円でした。これを判断基準のセクションで紹介した式に当てはめると、成約1件あたりの獲得費用は約2万〜18万円の幅になります。1つの値で示せば約5万円ですが、社内で判断に使うのであれば、不利な側の約18万円でも採算が合うかを確かめることになります。なお、この案件では成約単価を取得していないため、採算が合ったかどうかの結論は出していません。

この率は、問い合わせてきた企業のうち何社が成約したかを示すものです。対象企業全体のうち何社が導入するかという市場規模の導入率とは、分母が異なります。この検証で置き換えられたのは獲得効率の前提であり、導入率の前提ではありません。

この検証で確認できたこと・できなかったこと

この検証で確認できたのは、次の3点です。業態の言葉で切った顧客層に反応があったこと、想定していた強みの訴求が検索の入口にならなかったこと、そして獲得効率が幅つきで分かったことです。

一方で、確認できなかったことも3点あります。まず、対象社数と導入率、単価は、この手法ではそもそも測れません。次に、顧客層ごとの問い合わせ率の差は、件数が少なく範囲が重なるため判定できませんでした。さらに、成約2件がどの顧客層から出たかは記録しておらず、民泊に絞った展開が成約の面でも有効かは分かっていません。

判定の進め方にも課題がありました。この案件の判定は「続ける」でしたが、基準値を事前に合意したうえでの判定ではなく、全体の数値を見て下したものです。当社は検証後の広告運用にもつながる事業を行っているため、「続ける」の側に判断が寄りやすい立場にあります。次に同じ検証を行うのであれば、獲得費用の上限と、反応を確認したい顧客層を、検証を始める前に書面で合意しておくべきだったと考えています。

稟議の前に、前提の一覧をつくって確かめる1つを決める

市場規模の根拠が「わからない」と感じたときは、新しい情報源を探す前に、手元の推計を前提の一覧に戻すことから始めてください。前半のチェック表に自社の推計を書き込み、前提ごとの区分を埋めてみてください。未確認の前提がいくつ残っているのか、そのうち判断を左右するのはどれかが、表の上で見えてきます。

その新規事業、「売れるか」を2週間で確かめられます

カリアドは、新規事業の需要検証に特化したサービスです。

調査レポートや社内の議論では、結局「売れるかどうか」は分かりません。検証用LPを作り、実際に広告を配信し、見込み客が反応するかどうかを数値で確認します。

開発に数百万円を投じる前に、まず市場に聞く。それが最も安く、最も速い意思決定の方法だと考えています。

期間は2週間程度、費用は定額。検証レポートと広告の生データをお渡しするので、そのまま社内報告にお使いいただけます。

まずは無料相談から。検証すべき仮説の整理だけでもお役に立てます。

この記事を書いた人

Webマーケティング歴8年超。Web広告代理店でのコンサルタント職を経て、事業会社にて責任者としてリード獲得体制をゼロから構築。現在はSaaS企業のマーケティングを担当しながら、カリアドで新規事業の需要検証を手がけています。広告運用の実データにもとづく検証設計を専門としています。

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