新規事業の企画書で根拠が書けない理由と、2週間で作る方法

この記事でわかること
  • なぜ「根拠」の欄だけが埋まらないのか
  • 企画書の根拠は3層に分けて書く
  • 根拠は探すのではなく作れる:2週間・約10万円でできること
  • 「需要がない」は表示回数ゼロという形で確定する
  • 何件出れば「根拠」と言えるのか

新規事業の企画書を書いていると、ほとんどの項目は埋まるのに、市場規模と売上予測、そして「本当に需要があるのか」という欄だけで手が止まります。調べ方が悪いわけではありません。まだ誰も買っていないものの需要は、既存の統計に載っていないからです。根拠は探して見つけるものではなく、2週間と10万円ほどで作りにいくものだと考えています。

この記事では、法人向けリネンサプライ事業で実際に行った需要検証の数字をそのまま出しながら、企画書の根拠欄をどう埋めるかを扱います。掲載の許諾を得た実データです。

あなたの問いこの記事の答え
統計を調べても数字が出てこない出てこないのが正しい。既存の統計は、すでにある市場しか映さない
では何を根拠にすればいいか2週間・約10万円で自分で作れる。実測値で示す
根拠がないまま出していいのか未検証を未検証と明記したまま出す形がある
目次

なぜ「根拠」の欄だけが埋まらないのか

詰まるのは10項目のうち3つに集中する

新規事業の企画書に入れる項目は、解説記事によって6個から12個まで幅がありますが、中核はおおむね次の10個に収まります。

  • 背景(なぜ今取り組むのか)
  • 課題(誰の、どの場面の不便か)
  • 顧客・ターゲット
  • 解決策と提供価値
  • 市場規模
  • 競合と代替手段
  • ビジネスモデルと収益構造
  • なぜ自社がやるのか
  • 収支計画と実行スケジュール
  • リスクと撤退基準

このうち大半は、社内の資料と自分の頭のなかにある材料で形になります。手が止まるのは、市場規模、売上予測、そして「その需要が本当に存在するのか」という3つです。共通しているのは、いずれも社内にも公開情報にも答えが置かれていないという点です。

既存の統計は「今ある市場」しか映さない

公的統計も調査会社のレポートも、すでに取引が成立している市場を後から数えたものです。まだ誰も買っていない商品やサービスの需要は、定義上どの資料にも載っていません。新規事業の市場規模を調べても出てこないのは、そもそも計測の対象になっていないからです。

そこで多くの企画書は、近い市場の売上規模に想定シェアを掛ける方法をとります。ただしこのやり方では、「その市場が自社の対象とどれだけ重なるか」と「そのうち何割を取れるか」という2つの推定が掛け合わさることになります。どちらも実績のない係数であるため、決裁者から「その1割はどこから出た数字ですか」と聞かれた時点で、説明が続かなくなります。

対象顧客数と利用頻度と想定単価を積み上げる方法でも、事情は変わりません。3つのうち実績から取れる数字がひとつもないため、計算を精密にするほど精密な仮定が増えていくという構造になっています。推計の技術で解ける問題ではありません。

「顧客の声を入れろ」で止まる理由

企画書の解説記事の多くは、この先で一次情報の取得を勧めます。想定顧客に直接話を聞き、その言葉をそのまま企画書に載せるという助言です。方向としては正しく、統計から降りてきた数字より会議を動かす力もあります。

ただし聞き取りには、構造上ひとつ弱い点があります。人に質問を向ければ、相手は何かしら答えてくれるという点です。困っていることを尋ねれば困りごとが返ってきますし、使いたいかを尋ねれば前向きな返事が返りやすくなります。集まった声は、需要があるという方向にだけ積み上がっていきます。

一方で決裁の場で効くのは、「この課題には誰も反応しなかった」という結果のほうです。反応がなかった範囲まで把握しておくと、詰められる前に弱点を潰せます。この結果を聞き取り以外の方法でどう取りに行くかは、記事の後半で実際の数字とあわせて扱います。その前に、根拠が揃っていない状態のまま企画書を出すための書き方を整理します。

企画書の根拠は3層に分けて書く

確定した事実、検証済みの仮説、未検証を分ける

根拠欄が埋まらない理由のひとつに、すべてを同じ強さで書こうとしている点があります。市場規模も売上予測も需要の有無も同じ断定の文体で並べると、どこか一箇所が仮定だと分かった時点で、数字全体の確度が疑われます。「もう少し根拠を」という差し戻しは、個別の項目ではなく資料全体への評価として出ていると考えています。

そこで、根拠を3つの層に分け、層ごとに書き方を変える方法をおすすめします。

層何を置くか書き方必ず添えるもの
確定した事実実測値、公表されている数字言い切る出典、取得条件、時点
検証済みの仮説自分で確かめた範囲の結果「◯◯の条件下で◯◯を確認」標本サイズ、取得方法
未検証まだ確かめていないこと「未確認」と明記する誰がいつまでに何で確かめるか

この形にすると、根拠の総量が増えなくても企画書は通りやすくなります。決裁者が見ているのは全項目に答えがあるかどうかではなく、答えのない箇所を書き手が把握できているかどうかだからです。

未検証の欄は、空欄ではなく検証計画に変える

未検証と書くだけでは、調べていないという申告で終わります。同じ欄を次にやることの提案に変えると、決裁者が判断できる状態になります。書く内容は、誰が、いつまでに、何を、いくらで確かめるかの4つです。

記入例としては、次のような一文になります。

想定顧客が実在するかは未確認です。◯月◯日までに、広告費◯万円で検索広告とテストページを出し、問い合わせ件数を確認します。結果をもとに、◯月◯日の定例で継続可否を判断します。

この書き方には、企画書の性格そのものを変える効果があります。最後の依頼が事業化の承認ではなく検証の承認に変わるため、決裁者が引き受ける責任が小さくなります。事業をやるかどうかではなく、少額の予算と短い期間を使うかどうかの判断になるためです。

決裁者に見抜かれる3つの埋め方

ひとつめは、仮定を確定した事実の書式で書くことです。出典を添えると事実に見えますが、出典が存在するのは元になった市場規模のほうであり、そこに掛けたシェアの係数ではありません。掛け算の途中に仮定が入っている場合は、その係数を別行に出して未検証の層に置くほうが安全です。

ふたつめは、「競合はいない」と書くことです。未検証を確定した事実の層に置いた典型で、いないのではなく見つけられていないだけだと読まれます。加えて、誰も参入していない領域は儲からないから放置されている、という可能性も残ります。顧客が今その用事を何で済ませているかまで広げて書くと、この読まれ方を避けられます。

みっつめは、リスク欄でリスクを消すことです。想定されるリスクを並べ、それぞれに対応済みと書き添えると、未検証を検証済みの仮説へ格上げしたことになります。起きる確率を下げる説明よりも、起きたときに誰が最初に何をするかを書くほうが判断材料になります。

根拠は探すのではなく作れる:2週間・約10万円でできること

実際にやったこと

題材は、法人向けにリネンを貸し出すリネンサプライ事業です。既存の取引先とは別の顧客層に需要があるかどうかを、2週間かけて確かめました。実施した会社から掲載の許諾を得たうえで、実数をそのまま載せています。

手法としては、検索広告と検証用のページを組み合わせました。検索した人がページを読み、問い合わせフォームまで到達する流れを本番と同じ形で用意し、そこに実際の広告費を投じています。数字の読み方を間違えないために、前提を先に出しておきます。

  • 検証手法:検索広告と検証用ページによる実需要テスト
  • 成果としてカウントしたもの:フォームからの問い合わせと資料請求
  • 検証したキーワード:30語(完全一致15語、フレーズ一致15語)
  • 期間:2週間
  • 広告費:98,435円

結果の全体像

2週間で得られた数字は、次のとおりです。広告の表示から成約まで、同じ検証のなかで追跡しています。

段階実績1件あたりの費用
表示1,850回—
クリック129回(CTR 6.97%)約760円
問い合わせ・資料請求15件(CVR 11.63%)約6,600円
商談5件約2万円
成約2件約5万円

約10万円と2週間で、その顧客層に需要があるかどうかを判断する材料が揃いました。ただし、この金額が相場だという意味ではありません。1件の実績から適正予算を語ることはできませんので、ここでは「この案件では約10万円で判定に至った」という事実として読んでください。一般論としては、すでに検索されている言葉がある商材ほど、少ない予算で判定できる傾向にあります。反対に、言葉そのものが存在しない新しいカテゴリでは、費用も期間も膨らみます。

この検証で分かること、分からないこと

同じ検証でも、設計上どうしても追える範囲と追えない範囲があります。企画書に書ける根拠の範囲は、ここで決まります。

分かること分からないこと
その言葉で探している人が実在するか市場規模(TAM/SAM/SOM)
自社の訴求が検索で選ばれるか受注率、継続率、LTV
問い合わせが1件いくらで取れるか競合と比べて選ばれた理由
どの顧客層に反応の兆しがあるかどの顧客層が最も利益を生むか
反応がまったくない訴求はどれか予算を増やしたときの効率

右側について、今回は正直に書いておきます。成約2件の受注額と継続期間を追う設計にしていませんでした。そのため、成約1件あたり約5万円が高いのか安いのかは、この案件から言うことができません。判断するには、1件あたりの粗利と取引が続く期間が必要になります。広告の運用と受注後の追跡は別の作業であり、後者は事業側で設計しておく必要があります。

なお、ここで整理したのは「設計上追えるかどうか」です。追えた指標であっても件数が足りずに判定できない場合があり、そちらは次の章で扱います。

「需要がない」は表示回数ゼロという形で確定する

強みだと思っていた3つのうち、2つは検索されていなかった

この事業が強みとして掲げていたのは、最新機器による汚れチェック、ICチップを使った洗浄回数の管理、小ロットからの相談という3点でした。いずれも広告の見出しに使い、対応するキーワードもあわせて登録しています。2週間の結果は次のとおりです。

訴求の方向性表示回数クリック
汚れや洗浄品質を訴えるもの0回0回
小ロット対応を訴えるもの0回0回
リネン管理を訴えるもの11回0回

2つは、広告が一度も表示されませんでした。登録した語の半数は完全一致で設定していますので、その言葉で検索した人がいなかったという結果になります。一方で反応が集まったのは、「民泊でリネンサプライをお探しなら」「リネンのレンタル業者をお探しなら」という見出しでした。業者を今すぐ探している人の検索意図に、そのまま重なる言葉です。

ゼロは標本不足ではなく事実

件数が少ないときに比率を判定できるかどうかは、次の章で扱います。ただし表示回数のゼロは、性質が違います。比率ではなく事象の有無を見ているため、標本サイズの議論が必要ありません。この検証で断定してよい結果があるとすれば、それはゼロだった箇所です。

もちろん、無条件に言い切れるわけではありません。正確には、設定した地域と期間、そして登録した語の範囲において検索がなかった、という限定がつきます。言い換えれば、条件さえ企画書に併記しておけば、そのまま根拠として使える結果でもあります。検証で得られるもののうち、最も強く、最も見落とされやすいのがここだと考えています。

出会うための言葉と、出会った後に効く言葉は別

表示がゼロだったからといって、その強みに価値がないわけではありません。検索は、相手をまだ知らない人が言葉で探す場面です。そこで使われるのは業種名と用途であり、品質や管理の精度は、候補が並んだ後に比べる材料として働きます。

ここから出た結論は、強みを捨てるということではありません。置き場所を変えるということです。設備や管理精度の訴求は広告の見出しから外し、ページの比較部分や商談の場に移します。企画書には、「この訴求には需要がなかった」ではなく「集客の入口では機能せず、比較段階の差別化材料として残る」と書きます。事実を曲げずに、強みも殺さない書き方になります。

ここまでで、需要がない範囲は確定しました。残るのは、反応があった側をどこまで言い切れるかという問題です。

何件出れば「根拠」と言えるのか

成約から見て、判定がつかないときに一段下りる

事業として知りたいのは売れるかどうかですので、見る順番は成約、商談、問い合わせ、クリック率の順になります。クリック率は関心の強さを表す指標であり、それ単体で事業性を語れるものではありません。

ところが新規事業の検証では、上位の指標ほど件数が少なくなります。そこで、上から順に見て判定がつかなければ一段下りる、という運用をおすすめします。順番を入れ替えて最初からクリック率で語ると、実務の原則を件数の都合で書き換えたことになります。以下、実際に上から下りていきます。

問い合わせ15件では、顧客層の優劣は確定しない

成約は2件で、顧客層ごとに割ると1件か0件になりますので、層の比較には使えません。商談の5件も同様です。問い合わせから商談に進んだ割合は、幅を取ると15.2%から58.3%まで開きます。

一段下りて、問い合わせ15件を顧客層別に並べたものが次の表です。右端は、同じ条件でもう一度検証したときに収まると見込まれる範囲を示しています。

顧客層クリック問い合わせ問い合わせ率見込まれる範囲
民泊25520.0%8.9〜39.1%
レンタル16212.5%3.5〜36.0%
ホテル8112.5%2.2〜47.1%
汎用(業種名での検索)7579.3%4.6〜18.0%
清掃・洗濯500%0〜43.4%

民泊の20.0%と汎用の9.3%は、数字だけ見ると2倍以上の差があります。ところが範囲は8.9〜39.1%と4.6〜18.0%で重なっており、この件数では「民泊のほうが問い合わせにつながりやすい」と言えません。清掃・洗濯がゼロだった点も、上限が43.4%まで伸びますので、需要がないと結論づけるには足りていません。

検証を請け負っている立場としては、ここは言い切りたい箇所です。ただし言い切ってしまうと、その前提で組んだ予算計画が後から崩れます。

確定したのはクリック率のほうだった

さらに一段下りると、判定できる指標が出てきます。クリック率は表示回数を分母に取るため、件数の桁がひとつ上がるからです。

顧客層クリック率見込まれる範囲
民泊17.01%11.8〜23.9%
汎用(業種名での検索)5.73%4.6〜7.1%

この2つは範囲が重なりませんので、差があると判断できます。ただし言えるのは、民泊という言葉で探している人のほうが広告に強く反応した、という関心の差までです。問い合わせや成約に至りやすいかどうかは、先ほど見たとおり未確定のまま残ります。

企画書には、「関心の強さの差は確認済み、成約への差は未検証」と2段に分けて書きます。指標ごとに確からしさが違うことを示せると、数字の扱いが丁寧だという評価につながります。

観測された状態から、次の行動を決める

自社の検証結果をこの表に当てはめると、次に何をするかが決まります。

観測された状態意味次に取る行動
表示がほとんど出ないその言葉で探す人がいない(確定)訴求語を変える。検索以外の手段も検討する
表示は出るがクリックが0言葉はあるが選ばれていない(確定)広告文と掲載順位の問題として切り分ける
クリックは来るが問い合わせが0情報収集層か、ページの問題(未確定)検索語の意図を分類し直す
問い合わせが一桁〜十数件需要はある。層の優劣は未確定上位候補に絞って再検証する
商談・成約まで出た需要は確定。単価の妥当性は未検証受注額と継続期間を追う設計に切り替える
どの指標も中途半端判断不能期間を延ばさず、仮説を1つに絞って設計し直す

最後の「判断不能」を正式な結論として用意してください。進むか止まるかの二択にすると、判定がつかない結果が出たときに、組織の力学で進む側へ寄せられます。

成果ゼロに消えた28%が、判定の中身だった

問い合わせにつながらなかった消化が約2.8万円

約10万円の広告費のうち、問い合わせが1件も出なかった部分を抜き出すと次のようになります。

消化先費用問い合わせ
業種名単体での検索(情報収集層)約13,300円0件
清掃・洗濯・クリーニング系約4,200円0件
その他、反応がなかった語約10,100円0件
合計約27,600円(全体の28%)0件

これを無駄と呼んでしまうと、検証そのものの意味がなくなります。2.8万円は、どこに予算を置かないかを決めるために使った費用です。

ただし、ここで需要がないと確定したわけではありません。前章で見たとおり、クリックが一桁の範囲で問い合わせがゼロでも、結論を出せる件数には届いていないためです。この2.8万円で言えるのは、「今回の条件では反応が返らなかった」という一段弱い結果までになります。表示回数がゼロだった箇所とは、確からしさが違います。

検証の予算は、3割前後が成果ゼロで終わる前提で組んでおくとよいでしょう。全額を当たりに投じることは、当たりが分かった後にしかできません。

反応が良かった層に振り替えても、同じ効率では伸びない

ここで出てくるのが、「反応の薄い語を止めて、その分を民泊に寄せれば問い合わせは増える」という考え方です。実際、民泊への投下は全体の18%にあたる約1.8万円で、問い合わせを5件獲得しています。単純に計算すれば、2.8万円を寄せることで追加7件ほどが見込める形になります。

ところが、この計算は成り立ちません。2週間で民泊関連の広告が表示された回数は、およそ150回でした。予算を2.5倍にしたところで、その言葉で検索する人の数までは増えないためです。

一般論として、表示を増やす方法はあります。掲載順位を上げるか、対象にする語を広げるかのどちらかです。前者はクリック単価が上がり、後者は今回反応がなかった語のほうへ近づいていきます。どちらを選んでも、獲得単価は悪化する方向に動きます。

少額検証で出た単価を、そのまま掛け算しない

企画書でやりがちなのが、検証で出た獲得単価を使って売上計画を組むことです。1件6,600円で取れたのだから、100万円かければ150件、という形の計算になります。

この計算には、検索する人の数が無限にあるという前提が隠れています。検証で得た単価は、確かめた予算規模の範囲でのみ成立する数字です。企画書には「この単価は検証した予算規模での実績であり、拡大時には再検証が必要」と添えてください。前章の3層でいえば、検証済みの仮説の層に置き、拡大後の単価は未検証の層に残す形になります。

根拠を作る4つの選択肢を比較する

需要を確かめる方法は、検索広告による検証だけではありません。それぞれ分かることと費用が違いますので、自社の状況に合うものを選んでください。

自社でやる

検証用のページを1枚作り、検索広告を自分で設定して回す方法です。前章までの手順はそのまま再現できますので、社内にページを作れる人がいるなら最初の選択肢になります。費用は広告費が中心で、この記事の案件では約10万円でした。金額は商材と語の単価で動きます。まずは10万円前後を上限として設計し、足りなければ足す形がよいでしょう。これに加えて、ページ制作と設定、日々の確認で自社の工数がかかります。

調査会社に依頼する

アンケートやインタビューで、認知や購入意向を聞く方法です。まだ検索されていない新しいカテゴリでは、そもそも広告で検証できないため、こちらが有力になります。一般論として費用は数十万円規模からで、期間は数週間です。分かるのは「そう思うと答えた人の割合」であり、実際に行動するかどうかは別の話として残ります。

広告代理店に運用を依頼する

広告の設計と運用を任せる方法です。継続して配信し、成果を積み上げていく座組みが前提になります。一般論として運用手数料は広告費の20%前後で、最低の出稿額や契約期間が設定されている場合が多くあります。2週間で判断だけ出したいという単発の用途とは、目的が噛み合いにくい部分があります。

今は検証せず、判断を先送りする

これも選択肢のひとつです。社内の合意が取れていない段階で数字だけ持ち込んでも、議論は進みません。検証の予算すら確保できない場合も含め、先に社内の整理を済ませるほうが早く進みます。ただし企画書には、「未検証である」と「いつ誰が確かめるか」を残してください。

同じ軸で並べる

方法費用の目安期間分かること
自社でやる広告費10万円前後+自社工数2〜4週間実際の反応と獲得単価
調査会社数十万円規模から数週間意向と認知の割合
広告代理店広告費+手数料20%前後継続前提運用を続けた場合の成果
検証サービスに委託20〜30万円程度+広告費2週間前後実際の反応と判定結果
今はやらない0円—何も分からない

費用の安い順に選ぶものではありません。判断に必要な材料が何かで決まります。行動を見たいのか意向を聞きたいのか、この一点を先に決めると迷わずに済みます。

検証結果を企画書のどの欄に、どう書くか

数値と記述の対応表

検証が終わっても、書き方を誤ると根拠は根拠として機能しません。今回の結果を例に、書ける表現と書いてはいけない表現を並べます。

手元の結果こう書けるこう書いてはいけない
表示0回の訴求設定した期間と地域、登録した語の範囲で検索がなかったこの訴求に需要はない
問い合わせ15件2週間・約10万円で15件の反応を確認した月30件の獲得が見込める
層別の問い合わせ率クリック率の差は確認、問い合わせ率の差は未確定民泊が最も有望な顧客層である
成約2件広告経由で2件の成約に至った成約単価約5万円で採算が合う
反応がなかった28%予算配分を見直す材料として使ったこの分を回せば1.5倍になる

右の列に共通しているのは、確かめた範囲の外へ数字を伸ばしている点です。企画書で崩れるのは、検証していない部分ではなく、検証した数字を伸ばした部分です。

「その数字はどう取ったのか」に先回りする

決裁者が数字を見て最初に確かめるのは、取得の条件です。期間、広告費、対象地域、登録した語の数と一致の種類、そして何を1件と数えたか。この5つを1枚にまとめ、付録として添えてください。

条件が先に置いてあると、質問が「どう取ったのか」から「次に何をするのか」へ移ります。数字そのものより、条件を開示する姿勢のほうが信頼につながる場面は多くあります。

最終ページで、判断を返す

企画書の最後を「ご承認をお願いします」で終えると、決裁者は事業をやるかどうかという大きな判断を迫られます。ここを次の4つに置き換えてください。

  • 使う金額の上限
  • 期間
  • 責任を持つ人
  • 継続するか止めるかを判断する時期と、その基準

前章までで整理した検証計画を、そのまま最終ページの形にしたものです。基準は検証を始める前に合意し、合意した日付を残してください。結果が出てから基準を作ると、判定が結論の後追いになります。事前に置いた基準に照らして機械的に判定した、という事実が、その根拠を最後に支えます。

提出前チェックリスト

根拠の欄に絞った確認項目です。提出前にこの10項目を通すと、差し戻しの大半は事前に潰せます。

段階確認項目
分類根拠を、確定した事実・検証済みの仮説・未検証の3層に分けたか
分類未検証の欄に、誰が・いつまでに・何を・いくらで確かめるかが入っているか
分類掛け算の途中にある仮定を、別の行に出したか
記述「競合はいない」と書かず、顧客が今使っている代替手段まで広げたか
記述リスク欄に、起きたときの初動と担当者を書いたか
記述検証した数字を、確かめた範囲の外へ伸ばしていないか
判定差があると書いた箇所は、その件数で判定できる差か
開示期間、費用、地域、語の設定、1件の定義を付録に添えたか
依頼最終ページが、承認の依頼ではなく判断の依頼になっているか
依頼継続と中止の基準を、検証を始める前に合意して日付を残したか

全部に丸がつかなくても提出はできます。丸がつかない項目を自分で把握しているかどうかが、差し戻しとの分かれ目になります。

根拠が足りないまま出した企画書は、多くの場合そのまま止まります。止まっている間に市場が動き、次に出すときにはまた前提を作り直すことになります。まずは手元の企画書を開いて、根拠の欄を3層に分けるところから始めてみてください。分けた時点で、次に確かめるべきことが1つか2つに絞られているはずです。

その新規事業、「売れるか」を2週間で確かめられます

カリアドは、新規事業の需要検証に特化したサービスです。

調査レポートや社内の議論では、結局「売れるかどうか」は分かりません。検証用LPを作り、実際に広告を配信し、見込み客が反応するかどうかを数値で確認します。

開発に数百万円を投じる前に、まず市場に聞く。それが最も安く、最も速い意思決定の方法だと考えています。

期間は2週間程度、費用は定額。検証レポートと広告の生データをお渡しするので、そのまま社内報告にお使いいただけます。

まずは無料相談から。検証すべき仮説の整理だけでもお役に立てます。

この記事を書いた人

Webマーケティング歴8年超。Web広告代理店でのコンサルタント職を経て、事業会社にて責任者としてリード獲得体制をゼロから構築。現在はSaaS企業のマーケティングを担当しながら、カリアドで新規事業の需要検証を手がけています。広告運用の実データにもとづく検証設計を専門としています。

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