BtoB新規事業の広告 媒体の選び方と10万円で検証する手順

この記事でわかること
  • 新規事業に向く広告媒体と、向かない媒体
  • 広告費はいくらから始めるか
  • 実例:10万円・2週間で何が分かったか
  • 数字の読み方|成約から見て、判断できなければ順に下りる
  • 始める前に決めておく5項目

新規事業で広告を出そうとすると、いくつもの判断が必要になります。どの媒体から始めればいいのか、いくらかければいいのか、そして結果が出たときに続けるべきか止めるべきか。既存事業と違って参考にできる数字がないため、どれも決めにくいのではないでしょうか。

本記事では、実際に10万円・2週間で行った検証の数値をすべて公開しながら、この3つの判断について順番に解説していきます。

目次

BtoB新規事業の広告、結論から

やや長い記事になりますので、先に結論をまとめておきます。

迷いどころ結論
どの媒体から始めるか検索広告から始めるのがおすすめです。すでに探している人がいるかどうかが、数字ではっきり分かります
いくらかけるか10万円台から始められます。本格的に運用する予算は、判断がついてから決めましょう
結果をどう読むか成約から順番に見ていきます。成約で判断できない場合に、問い合わせ件数、クリック率へと下りていきます

3つ目について補足します。

BtoBの広告で最初に見るべき指標は、問い合わせ件数ではありません。その問い合わせが商談になり、受注につながったかどうかです。件数がいくら多くても受注がゼロであれば、その広告は機能していないことになります。

ただし新規事業の検証段階では、成約のデータがすぐには返ってきません。商談が動き出すまでに数週間から数か月かかることも珍しくないため、その間は下の指標で判断せざるを得ない場面が出てきます。

そこで、次の順番で見ていきます。

  1. 成約 — 事業として成立するかどうかは、ここでしか判定できません
  2. 問い合わせ件数 — 成約が出そろう前、あるいは成約数が少なくて層別に割れないときに使います
  3. クリック率 — 上の2つでも、どの層を狙うべきかが決まらないときに使います

1段目については、まず成約数を見ます。成約金額まで取得できるのであれば、ROASで見ると判断の精度が上がります。ROASは広告費に対していくらの売上が立ったかを示す指標です。

というのも、BtoBは1件あたりの金額差が大きいため、件数だけで見ると実態を読み違えることがあるためです。成約が2件しかなくても、そのうち1件が大口の取引であれば十分に回収できているケースもあります。逆に件数が多くても、小口ばかりであれば採算が合わないこともあるでしょう。

金額の確定に時間がかかる場合は、受注見込み金額を仮に入れておき、確定した後で差し替えれば問題ありません。

本記事で紹介する実例では、10万円の検証で問い合わせが15件、そのうち商談が5件、成約が2件という結果になりました。事業として続けるかどうかの判断は、この成約2件で付いています。一方、5つの層のうちどこを狙うべきかについては成約2件では判断できず、クリック率まで下りて決めました。

以下、媒体、費用、実例、読み方の順に解説していきます。お急ぎの場合は、実例の章から読んでいただいても内容は通じるようになっています。

新規事業に向く広告媒体と、向かない媒体

BtoBで使える広告媒体は多岐にわたりますが、新規事業の初期段階で使えるものはある程度限られてきます。取り組む順番についても、目安があります。

検索広告から始めるのがおすすめ

検索広告を最初に置く理由は、費用の安さや運用のしやすさではありません。需要があるかどうかが、数字ではっきり分かるためです。

たとえば「◯◯ 業者」という言葉で広告を出したときに表示回数がゼロであれば、その言葉で探している人が期間中にいなかったことを意味します。入札で競合に負けたのではなく、検索そのものが発生していなかったということです。

これは他の媒体では分かりません。SNS広告やディスプレイ広告は、こちらが指定した相手に対して配信する仕組みです。相手が探していなくても広告は表示されるため、反応がなかったときに、興味がないのか、タイミングが悪かったのか、それとも広告の内容が悪かったのかを切り分けることが難しくなります。

その点、検索広告は相手が自分から探しに来たときにだけ表示されます。そのため「反応がない」ことの意味がはっきりします。

新規事業で最初に知りたいのは、この市場に需要があるかどうかです。その問いに最短で答えてくれるのが検索広告だと考えています。

検索需要がない場合はSNS広告・ディスプレイ広告

ただし、検索広告が使えないケースもあります。商品のカテゴリ名がまだ世の中に存在していない場合です。

新しい仕組みやサービスを作ったとき、顧客はその名前を知りません。名前を知らなければ検索することもないため、検索広告を出しても表示回数が伸びないという状態になります。

このような場合は、SNS広告やディスプレイ広告に切り替えます。業種や職種、企業規模といった属性で対象を指定して、こちらから接触していく形です。特にLinkedInやFacebookは、BtoBで使える属性データが比較的そろっています。

ただし検索広告と比べると、結果の解釈は難しくなります。先ほど触れたように、反応がなかった理由を切り分けにくいためです。クリック率だけを見るのではなく、広告のパターンを複数用意して比較できる設計にしておくとよいでしょう。

展示会・DM・タイアップは判断がついた後に

展示会やDM、記事タイアップ、交通広告といった手段は、新規事業の初期にはあまり向きません。

理由は費用の高さではなく、やり直しに時間がかかる点にあります。展示会は出展枠を押さえた時点で内容がほぼ固定されますし、DMも発送してしまえばそれで終わりです。訴求が外れていたと分かっても、翌日に差し替えるということができません。

検証の段階では、外れたと分かった時点ですぐに次を試せることが優先されます。これらの手段は、どの層に何を伝えるかが決まった後、規模を広げていく段階で使うのが適しています。

媒体ごとの費用目安

媒体費用の目安最短の実施期間検証への向き
検索広告月10万円〜2週間高い
SNS広告月10万円〜2〜3週間中程度
ディスプレイ広告月10万円〜2〜3週間中程度
記事タイアップ50万〜300万円1〜2か月低い
展示会50万〜200万円3〜6か月低い
DM10万〜100万円3週間〜低い

金額はあくまで一般的な相場です。実際の見積もりは商材や規模によって変わってきます。

広告費はいくらから始めるか

新規事業の広告予算は、判断するための予算と、判断がついた後の予算に分けて考えると整理しやすくなります。この2つを混同してしまうと、いくらかければいいのかが決まりません。

検証段階は10万円台から

判断のための予算は、10万円台から組むことができます。

必要なのは、どの層が反応するかを見分けられるだけのデータです。売上を作るための予算ではないため、金額は「知りたいことを知るのに足りるかどうか」で決めることになります。

目安としては、検証したい層が4〜5に分かれる程度であれば、10万円前後で足ります。層を増やすほど1層あたりのデータが薄くなってしまうため、5を超える場合は予算を増やすか、層を絞るかの判断が必要です。

期間は2週間を目安にするとよいでしょう。1週間だと曜日による偏りが出てしまいます。BtoBの広告は平日に反応が集中する傾向があるため、平日を10日分確保できる長さが必要になります。

成約1件あたりの上限を決める

判断がついた後の予算については、1件の受注にいくらまで払えるかから逆算していきます。

手順計算例
① 顧客1社の生涯売上—50万円
② 粗利率をかける50万円 × 30%15万円
③ 広告費に回す割合をかける15万円 × 20%3万円

③が、成約1件に払える上限になります。この金額と、実際にかかった広告費を比べて判断します。

なお、問い合わせ1件あたりで上限を置くことはおすすめしません。受注につながらない問い合わせを安く集めた広告が、合格になってしまうためです。

もっとも、新規事業では①の数字が分かりません。まだ受注実績がないためです。

このような場合は、①を3通り置いてみてください。うまくいった場合、標準的な場合、厳しい場合の3つです。そのうえで、いちばん厳しい数字から計算した上限を採用します。この上限を超えたら見送り、下回れば「最悪の想定でも成立する」と読むことができます。

正確な金額を出そうとしないことがポイントです。必要なのは、越えてはいけない線がどこにあるかだけだからです。

代理店に依頼する場合の費用

広告代理店に運用を依頼する場合、手数料は広告費の10〜20%程度が一般的な相場とされています。

ただし広告費が10万円ですと、手数料は1〜2万円にしかなりません。この金額では代理店側の採算が合わないため、最低契約金額を設定しているところがほとんどです。月30万円、50万円といった下限が設けられているケースをよく見かけます。

そのため、検証だけを短期で依頼するという形は成立しにくいのが実情です。代理店に依頼するのであれば、判断がついた後の本格運用からのほうが噛み合うでしょう。

実例:10万円・2週間で何が分かったか

ここからは実際の数値をご紹介します。クライアントの特定を避けるため、社名と商品名は伏せ、業種についても一段抽象化していますが、数値そのものは加工していません。

検証の条件

対象は法人向けのレンタル・サプライ業です。既存のお客様とは別の層に需要があるかどうかを確かめることが目的でした。

項目内容
手法検索広告+専用ページ
広告費約10万円
期間2週間
成果とみなす行動フォームからの問い合わせ・資料請求
検証したキーワード30語
検証した層5つ
広告で分かること需要の有無、どの層が反応するか
後追いで確認したこと商談化数、成約数(配信終了後に営業側で追跡)

最後の2行が、この検証の骨格になっています。

広告の管理画面から分かるのは、問い合わせが何件来たかまでです。その先が事業として成立するかどうかは、営業が追いかけないと分かりません。この案件では、2週間の配信が終わった後に、営業側で商談と受注を追跡してもらいました。

反応があった層、なかった層

5つの層に分けて配信した結果が以下です。

層クリッククリック率問い合わせCPA
A:新興・小規模事業者(取引先を持たない層)2517.01%5約3,600円
B:購入ではなくレンタルを探している層1615.53%2約7,000円
C:業界の主要顧客(既存の取引先あり)86.50%1約7,300円
D:カテゴリ名での検索755.73%7約7,800円
E:隣接業種(新規開拓先と想定していた層)53.18%0—
全体1296.97%15約6,500円

表示回数は全体で約1,850回でした。そのうちDが約1,300回を占めており、Aは約150回にとどまっています。

この表から読み取れることが3つあります。

まず、クリック数とクリック率が逆の順序になっている点です。いちばんクリックを集めたDは、クリック率で見ると下から2番目でした。表示は多いものの反応は薄い状態で、カテゴリ名で検索する人には情報を調べているだけの層が混ざっているためだと考えられます。

次に、クリック率の差が非常に大きいことです。最も高いAが17.01%、最も低いEが3.18%で、5倍以上の開きがありました。

そしてAとCの対比が、この検証でいちばんの発見でした。業界の主要顧客であるCのクリック率は6.50%と、全体平均を下回っています。すでに取引先がある会社は、検索で業者を探さないということです。反応が集中したのは、取引実績のない新興層のほうでした。

クライアントが当初狙っていたのはCの層です。売上規模が大きいためで、これは自然な発想だと思います。しかし検証の結果、狙う順序が入れ替わることになりました。

問い合わせ15件が、成約2件になるまで

広告の管理画面で見えるのは、ここまでです。事業として続けるかどうかは、この15件がその後どうなったかで決まります。

配信終了後に営業側で追跡した結果が以下になります。

段階件数前段階からの率1件あたりの広告費
問い合わせ15—約6,500円
商談533.3%約19,700円
成約240.0%約49,200円

10万円の広告費で、成約が2件出ました。成約1件あたりの広告費は約49,200円という計算になります。

この数字が、事業を続けるという判断の根拠になりました。判断の材料になったのは、問い合わせが15件来たことではありません。そのうち3分の1が商談に進み、さらにその4割が受注に至ったという点です。

商談化率33.3%は、この案件では合格ラインでした。ただしこの評価は商材によって変わります。単価が高く検討期間が長い商材であればこの率でも十分ですが、短期で決まる商材であれば低いと見るべき水準かもしれません。自社の既存事業の商談化率と比べてみるのが、いちばん確かな物差しになるでしょう。

CPA約6,500円という数字も、この段階まで来て初めて評価できます。成約1件に約49,200円かかるとして、顧客1社から得られる粗利がそれを上回るかどうか。上回っていれば、広告を継続する根拠が立ちます。

逆に言えば、成約データがない段階でCPAの良し悪しを判定することはできません。仮にCPAが3,000円だったとしても、1件も受注につながらなければ、その広告は機能していないことになるからです。

「自社の強み」は3つとも空振りだった

この検証でいちばん意思決定を変えたのは、実は上の表に出ていない結果でした。

クライアントは開始前に、自社の強みを3つ挙げていました。設備投資による品質管理、洗浄回数を追跡する管理体制、そしてロットの柔軟性です。いずれも競合が持っていない機能で、この3点を軸に広告の見出しを作りました。

結果は次のとおりです。

  • 品質管理の訴求 → 表示回数0
  • ロットの柔軟性 → 表示回数0
  • 管理体制 → 11回表示、クリック0

表示されなければ費用は発生しませんので、この3つの検証は実質0円で終わったことになります。

表示回数0が意味するのは、入札で負けたということではありません。その言葉で検索する人が、期間中に一人もいなかったということです。

つまり、自社が競合より優れている点と、顧客が探すときに使う言葉は別物だったわけです。

実際に反応があったのは「◯◯ 業者」「◯◯ サプライ」といった、今すぐ業者を探している人が使う言葉でした。顧客は機能で探しているのではなく、カテゴリで探して、見つけてから機能を比べているということになります。

ここから出た結論は、強みを捨てるということではありません。置き場所を変えるということです。広告の見出しからは外して、ページ内の比較表に移しました。これが検証の直接の成果になっています。

もう一点、費用の面で記録に値することがあります。この検証でいちばん大きな発見が、費用のかかっていない領域から出たという点です。一方で、10万円のうち約28%は問い合わせを1件も生まずに消えています。使った金額と分かったことの量は、必ずしも比例しないということでしょう。

数字の読み方|成約から見て、判断できなければ順に下りる

BtoBの広告で最初に見るのは成約です。問い合わせ件数でもクリック率でもありません。

成約を見て判断がつくのであれば、そこで終わりにして構いません。判断がつかないときにだけ、下の指標に下りていきます。

3段階の優先順位

順位見る指標判断できること下りる条件
1成約金額・ROAS事業として続けるか金額がまだ確定しない
1′成約・商談件数同上(金額が取れない場合の代用)成約データがまだ返らない/件数が少なく層別に割れない
2問い合わせ件数どの訴求が刺さったか層ごとの件数が一桁で、優劣がつかない
3クリック率どの層を狙うか—

先ほども触れたとおり、1段目ではまず成約数を見て、成約金額まで取得できるのであればROASで判断します。成約金額を取得できない場合や、確定までに時間がかかる場合は、成約数で代用することになります。

実例で、この3段階がどう機能したかを追ってみます。

第1段階では、成約2件という結果が出ました。10万円の広告費で受注が2件ですから、この市場に需要があることは確定です。事業を続けるかどうかの判断は、ここで付きました。

ただし、成約2件では次の問いに答えることができません。5つの層のうち、どこに予算を寄せるべきかという問いです。2件では層ごとに割ることができないためです。

第2段階として、問い合わせ15件を層別に見てみます。A層が5件、B層が2件、C層が1件、D層が7件、E層が0件でした。

数としてはD層が最多ですが、一桁の差では順位を信じることができません。同じ広告をもう一度回せば、AとDが入れ替わる可能性が十分にあるためです。

そこで第3段階として、クリック率まで下りることになります。ここで初めて、層の順位がはっきりしました。

件数が一桁のとき、順位を信じてはいけない理由

数字には、もとになる数によってブレ幅が生まれます。5クリックで1件と、50クリックで10件では、同じ20%であっても確からしさがまったく違います。

実例の問い合わせ率にブレ幅を当てはめてみると、次のようになります。

層問い合わせ率実際にありうる範囲
A20.0%(5件)9〜39%
D9.33%(7件)5〜18%

範囲が重なっていますので、AのほうがDより高いとは言い切れません。

一方、クリック率で同じことをすると結果が変わります。

層クリック率実際にありうる範囲
A17.01%12〜24%
D5.73%5〜7%
E3.18%1〜7%

こちらは範囲が重なっていませんので、クリック率の順位についてはこの規模でも判断できるということになります。

差が出た理由は、もとになる数の違いです。問い合わせ率のもとになるのは129クリックですが、クリック率のもとになるのは1,850回の表示です。14倍の差がありますので、精度も変わってきます。

実例でA層を推したのは、問い合わせ率が20%だったからではありません。成約数で事業を続けることが決まり、問い合わせ件数では層の順位がつかず、クリック率で初めてA層が他と分かれた、という順序で判断しています。

反応がない3つのパターン

反応がなかった箇所についても、意味が3つに分かれます。

状態意味次にやること
表示が0その言葉で探している人がいない訴求を諦める。ページ内の説明に回す
表示はあるがクリック0探している人はいる。言葉が響いていない広告文を書き換えて再測定
クリックはあるが問い合わせ0クリックが少なければまだ分からない。多ければページか商品の問題少ない場合は追加で出す。多い場合はページを見直す

3行目の分かれ目には注意が必要です。

実例のE層は、クリック5件で問い合わせ0件でした。これを「隣接業種に需要がない」と読んでしまうのは危険です。仮に本当の反応率が10%あったとしても、5クリックで0件になることは半分以上の確率で起こり得るためです。

十分なクリック数かどうかの目安としては、見込む反応率の逆数の3倍を使っています。反応率10%を見込むなら30クリック、5%なら60クリックが下限という計算です。統計的に厳密な基準ではなく、実務上の目安としてお考えください。

これを超えて0件であれば、ページか商品の問題として扱うことができます。実例では、カテゴリ名だけのキーワードが約1.3万円を使って0件でした。クリック数は下限を超えていましたので、調べているだけの層だったと判定しています。

「反応がなかったから撤退」という判断は、新規事業でいちばん高くつく間違いだと考えています。撤退の根拠にできるのは、表が0だった1つ目のパターンだけです。分からなかった層については「需要がない」ではなく「測っていない」と記録しておきましょう。この違いを曖昧にしたまま議事録に残してしまうと、半年後に同じ議論をやり直すことになりかねません。

成約データは、広告の管理画面には出てこない

3段階の1番目である成約は、広告の管理画面では追うことができません。問い合わせが商談になり受注に至ったかどうかは、営業側の記録と突き合わせる必要があります。

実例では、配信終了後に営業が15件を追跡してくれました。この作業がなければ、成約2件という数字は出ていません。CPA6,500円という数字だけが残り、それが良いのか悪いのか分からないまま終わっていたはずです。

外部に検証を依頼する場合は、この追跡が含まれるかどうかを確認しておくとよいでしょう。広告の運用と、その後の営業追跡は別の作業だからです。広告側だけを外部に出すのであれば、成約の追跡は自社で設計しておく必要があります。

最低限、次の3つを決めておけば追うことができます。

  • 問い合わせが来たとき、どこに記録するか
  • 商談になった時点で、どのフラグを立てるか
  • 何日後に集計するか

3つ目は忘れられがちですが、BtoBは検討期間が長いため、配信終了の翌週に集計しても成約は出てきません。実例では、商材の検討期間に合わせて集計日を決めました。

始める前に決めておく5項目

結果を見てから基準を作ろうとすると、その基準は結果に引きずられてしまいます。

問い合わせ15件という数字は、事業に前向きな人から見れば十分に見えますし、慎重な人から見れば不足しているように見えます。どちらの解釈も数字からは等しく導けてしまうため、基準は先に決めておく必要があります。

配信を始める前に、次の5項目を埋めておきましょう。

項目実例
① 広告費約10万円
② 期間2週間
③ 成果とみなす行動フォームからの問い合わせ・資料請求
④ 成約を誰が・いつ集計するか。金額も取るか配信終了後、営業側で追跡(件数のみ)
⑤ 撤退ライン(成約1件あたりの上限、またはROAS)粗利から逆算した範囲に収まった

④が抜けてしまうと、判断が1段階下がることになります。

成約を追う仕組みがないまま配信すると、手元に残るのは問い合わせ件数だけです。実例で言えば「15件、CPA6,500円」という報告で終わってしまい、この数字からは事業として続けるべきかどうかが分かりません。

追跡の設計は配信前に済ませておきましょう。配信が終わってから「あの問い合わせはどうなりましたか」と聞いて回っても、記録が残っていないことがほとんどです。

④には、成約金額まで取得するかどうかも含めておきます。金額が取得できればROASで判断できますし、BtoBは1件あたりの差が大きいため、件数だけでは実態がつかみにくいためです。

もうひとつ、やり方として紹介しておきたいことがあります。フォームに業種や企業規模の欄を入れておくと、成約がどの層から出たかまで追うことができます。ただし項目を増やすと問い合わせ率は下がりますので、必須ではありません。層の判別を優先するか、問い合わせ件数を優先するかの選択になります。実例では入れていなかったため、成約2件がどの層のものかは分かっていません。

⑤についても補足しておきます。上限は成約1件あたりで置いてください。問い合わせ1件あたりのCPAで置いてしまうと、受注につながらない問い合わせを安く集めた広告が合格になってしまいます。実例では、問い合わせのCPAが約6,500円、成約1件あたりが約49,200円でしたが、判断に使ったのは後者です。

なお、結論は3つ用意しておくことをおすすめします。続ける、やめる、まだ分からない、の3つです。2択にしてしまうと、判断がつかない結果が出たときに、どちらかへ無理に寄せることになります。しかもその寄せ方は数字ではなく、社内の力関係で決まってしまいがちです。3つ目を用意しておけば、この経路を塞ぐことができます。

実例では、5つの層のうち1つが「まだ分からない」で終わりました。レポートには未検証と記載し、需要の否定には使っていません。

自社でやるか、外に頼むか

検証の手段は5つあります。どれが適しているかは状況によって変わりますので、比較してみましょう。

手段費用期間分かること弱み
自社で運用広告費のみ(10万円〜)2〜3週間実際の行動担当者の工数が2〜3週間分必要
広告代理店広告費+手数料10〜20%1か月〜実際の行動少額・短期は受けにくい
調査会社数十万〜数百万円1〜2か月意向、市場規模意向と行動はずれる
顧客インタビュー数万〜数十万円2週間〜1か月買わない理由応じる人に偏りが出る
見送る0円—なし時間を失う

自社で運用するのがいちばん安く、ノウハウも社内に残ります。管理画面の操作自体は数日で覚えられますので、難しいのは操作ではありません。基準を先に決めることと、出てきた数字のどこまでを信じるかの見極めのほうが難所になります。この2点については本記事で紹介した表がそのまま使えますので、体制が組めるのであれば自社でやるのが最も合理的だと思います。

広告代理店は実行力が最大の強みです。ただし成果はCPAと件数で測られるため、「この事業はやめたほうがいい」という提案は評価軸の外に出てしまいます。これは代理店の姿勢の問題ではなく、構造的な話です。判断がついた後の本格運用から依頼すると噛み合うでしょう。

調査会社は母集団の設計ができる点が強みで、検索していない層にも届きます。ただし分かるのは意向であって、行動ではありません。実例で言えば、「品質管理体制があれば検討したい」という回答は一定数得られたはずですが、実際にその言葉で検索した人は0人でした。意向と行動は、このくらいずれることがあります。

顧客インタビューは、なぜ買わないのかという理由まで踏み込めますし、検索需要がない商品でも実施できます。ただし実例で反応した層は、インタビューには応じてくれないと思われます。今まさに業者を探している最中だからです。広告で層の順位を測り、上位の層にインタビューで深掘りしていくという併用が現実的でしょう。

見送るというのも、ひとつの選択肢です。既存事業が逼迫している、決裁者がすでに結論を持っている、商品の完成度が足りていない。こうした状態で検証しても、結果が意思決定に届きません。ただし見送るのであれば、いつまで見送るのかだけは決めておいてください。期限のない先送りは、判断の放棄と区別がつかなくなってしまいます。

なお、どの手段を選んだとしても、成約の追跡は自社に残ります。広告の運用を外部に出すことはできても、問い合わせが商談になり受注に至ったかを記録できるのは自社の営業だけだからです。外部に依頼する範囲を決める際には、ここを誰が持つのかを最初に確認しておきましょう。

最初の2週間の進め方

検証の手段は5つあります。どれが適しているかは状況によって変わりますので、比較してみましょう。

実際に取り組む場合の日程を、日単位で整理しておきます。

Day1〜3|決める

まず、検証する層を5つ以内に分けます。5を超えると1層あたりのデータが薄くなってしまうためです。次に、前章の5項目を埋めていきます。決裁が必要な場合は、この段階で稟議を出しましょう。予算、期間、撤退ライン、分からないことの4点があれば足ります。

Day4〜5|作る

専用ページを1枚用意します。凝った作りにする必要はありません。層ごとの訴求の差は、ページではなく広告文で出していきます。

フォームの項目をどこまで残すかについても、ここで決めます。業種や企業規模を残しておくと、どの層が反応したかを後から追うことができます。ただし項目が増えると問い合わせ率は下がりますので、層の判別と件数の確保のどちらを優先するかで決めてください。

キーワードは30語前後を目安に構造化します。マッチタイプは完全一致とフレーズ一致を半々にして、部分一致は使いません。配信前に、自分でフォームを送信して計測が動いているかを確認しておきましょう。

Day6〜19|配信して、設定は変えない

配信を始めたら、期間中は設定を変更しません。ここが通常の運用といちばん違う点になります。

成果の悪いキーワードを3日目に止めればCPAは改善しますが、止めた瞬間にそのキーワードは「反応がない」から「試していない」に変わってしまいます。検証結果に穴が空くことになりますので、原則として触らないほうがよいでしょう。

例外は2つだけです。計測が動いていないと分かったときと、地域や言語の指定ミスが見つかったときで、この2つについては即座に直します。

期間中に見るのは、表示回数が予定どおり伸びているかどうかだけです。半分以下で推移しているようであれば、判定に必要なデータが集まりませんので、予算配分か入札を調整するか、期間の延長を検討してください。

Day20|いったん整理する

配信を止めて、数字を整理します。ただしこの時点では、まだ結論を出しません。成約データが返ってきていないためです。

ここで確定するのは2つです。表示が0だった訴求と、層ごとのクリック率の順位。この2つについては、成約を待たずに読むことができます。

層の順位はクリック率で確認します。問い合わせ件数が一桁の層については、件数の順位を結論に使わないようにしてください。

Day20以降|成約を待って判断する

問い合わせを追跡して、商談化と受注を集計します。集計日は、商材の検討期間に合わせてあらかじめ決めておきましょう。

出す結論は、続ける・やめる・まだ分からない、の3つのいずれかです。分からなかった層については、そのように記録します。追加で出すのであれば、下限に届くまでにいくら必要かを同時に計算しておくと判断しやすくなります。

報告には生データを添付してください。全キーワードの実績、広告文とページの画面、管理画面のレポート、そして問い合わせ1件ごとの追跡結果です。要約だけを出してしまうと、数字の出どころを聞かれた時点で議論が止まってしまいます。

まとめ

BtoB新規事業の広告は、リードを取るためではなく、事業を続けるかどうかを判断するために出すものだと考えています。そのため、見る順番も決まってきます。

まずは成約数を見ます。成約金額まで取得できるのであれば、ROASで見ましょう。成約数で判断がつかない場合は問い合わせ件数を見て、それでも層の優劣がつかない場合にクリック率を見ます。上の段階で判断がつけば、そこで止めて構いません。

その新規事業、「売れるか」を2週間で確かめられます

カリアドは、新規事業の需要検証に特化したサービスです。

調査レポートや社内の議論では、結局「売れるかどうか」は分かりません。検証用LPを作り、実際に広告を配信し、見込み客が反応するかどうかを数値で確認します。

開発に数百万円を投じる前に、まず市場に聞く。それが最も安く、最も速い意思決定の方法だと考えています。

期間は2週間程度、費用は定額。検証レポートと広告の生データをお渡しするので、そのまま社内報告にお使いいただけます。

まずは無料相談から。検証すべき仮説の整理だけでもお役に立てます。

この記事を書いた人

Webマーケティング歴8年超。Web広告代理店でのコンサルタント職を経て、事業会社にて責任者としてリード獲得体制をゼロから構築。現在はSaaS企業のマーケティングを担当しながら、カリアドで新規事業の需要検証を手がけています。広告運用の実データにもとづく検証設計を専門としています。

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